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Vol.0018
『初めて部下を持つマネージャーを支援する』ITコーチング・ラボ提供
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◆ 【週刊】SE失敗学「営業・経営・政治」編
「どんでん返し」 2003/12/24(第18号)
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今週の「失敗プロジェクトに隠されたヒント」
●質問:先日、ある会社に製造委託していた人事管理システムが納
品されました。受け入れテストを実施した結果、致命的な不具合
はありませんが、細かい仕様に関するところでいくつか想定と異
なる箇所がありました。
仕様認識違いの責任をどのように分担すればよいかアドバイスを
ください。
不具合:「足し算の結果があわない」
症状:勤務時間を集計して月ごとの合計を表示する機能でその不具
合は発生しました。画面上に表示された集計結果が間違っていた
のです。
例:
ある集計箇所では 10.3 + 5.2 = 15 ...(1)
別の集計箇所では 10.3 + 5.2 = 16 ...(2)
(1)と(2)は本来は一致しなければいけないのに異なっています。
不具合の原因はこうです。
最初に各項目を四捨五入して最後に足し算するか(1)式、あるいは
(四捨五入せずに)項目を足した結果に対して四捨五入するのか
(2)式、その方式の違いによるらしい。
この不具合は双方の確認ミスということで、今のところ責任の所
在は不問ですが、外注企業側は
「これはプログラムのバグではない。仕様どおりに作成した」
と主張しています。
この修正には若干の追加工数がかかることになりますが、発注側
にはこれ以上支払える予算はありません。
答えは後半に載せています。
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- 目次 -
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◎失敗プロジェクトに隠されたヒント
[本文]
1. すべては成功のために・・・
2. どんでん返し
3. 頑張ったら不評を買ったプロジェクト
4. 今回の気づき
◎失敗プロジェクトに隠されたヒントの答え
◎今週のお勧めメルマガ
◎編集後記
前回の記事を読む
http://www.mag2.com/m/0000114056.htm
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1. すべては成功のために・・・
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●あるリーダーの失敗談を紹介します。
昔々ある客先に、技術的なハードルの高いプロジェクトがありま
した。もともと別の協力会社が担当していたのですが、仕事をこ
なせるメンバーがなかなか揃わず、納期が迫っているのに進捗は
遅れ遅れになっていました。
そんなとき、顧客からそのリーダーに声がかかったのです。
●リーダーはすべてを賭けて猛進しました。デスマーチは覚悟の上
です。社内の他の稼動プロジェクトをすべて止めてでも、という
くらいの勢いで、人員集めに走りました。
…そしてプロジェクトは完了しました。
お客さんも満足しているようにみえます。
●顧客と強い信頼関係を築くことができた、と確信したリーダーは、
自分たちがいかにすべてを犠牲にして打ち込んできたかを示すた
め、そして採算度外視で投入したコストを少しでも回収するため、
顧客に相談を持ちかけました。
信頼を得た今なら、喜んで応じてくれるに違いない。
リーダーは賞賛的な回答を期待しました。
(ここまでは先週の内容)
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2. どんでん返し
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◆しかし顧客から返ってきたのは賞賛ではなく、リーダーの上司へ
の苦情でした。
「我々は予算の枠内で動いている。あずかり知らぬところ
で頑張ったからと言われて、ボーナスをほいほい払うわ
けにはいかない。その点を理解されなかったのは残念だ。
もっと我々の立場に立って考えてほしい。おたくのリー
ダーはマネジメント力に問題があるようだ。」
◆真実はわかりませんが、どうやらこの顧客にとって、リーダーに
プロジェクトの命運を託す、というほどの意識がなかったようで
す。
◆あくまでも最初の協力会社が主パートナーであり、リーダーのチ
ームには主パートナーの仕事のすき間を埋める部分で手伝っても
らいたかったようなのです。
「何が何でも納期に間に合わせる」かどうか、そのためにどれだ
けのコストを投入するかは、顧客側のプロジェクト・マネージャ
が判断することだったのです。
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3. 頑張ったら不評を買ったプロジェクト
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◆その後リーダーに増員の要請などあるはずもなく、プロジェクト
も完了してしまったので、フォロー要員を残して、むしろチーム
は縮小されました。
◆幸い、リーダーにはその顧客の別の部署から、技術力をあてにさ
れて声がかかるようになったので、まだ良かったといえるでしょ
う。
しかし、死ぬほど頑張ったらかえって顧客の不評を買ったという
ちぐはぐな結果を招いた点において、明らかにまずいやり方をし
てしまっているのです。
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■■ 今回の気づき ■■
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このリーダーは典型的な"いい子ぶりっ子"です。このタイプはお客
から認められることに何よりエネルギーを使います。リーダーは顧
客の全体利益のために働く存在であることを忘れてはいけません。
(執筆:内山 ITコーチング・ラボ 指導員)
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みなさんの感想もどんどん取り上げていきたいと思います。
質問メール・情報提供は大歓迎です。
ご質問・ご意見はこちら。
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▼失敗プロジェクトに隠されたヒント ★答え★
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●質問:先日、ある会社に製造委託していた人事管理システムが納
品されました。受け入れテストを実施した結果、致命的な不具合
はありませんが、細かい仕様に関するところでいくつか想定と異
なる箇所がありました。
仕様認識違いの責任をどのように分担すればよいかアドバイスを
ください。
●答え:不具合が発生した後に慌てて責任追及を始めたとしても、
取引上のメリットはありません。
大切なのはシステムの中身です。特にまだ完了していないプロジ
ェクトであれば、メンバーはマネジメントのプロセスばかり気に
しないよう注意します。「評論家」になったり、出しゃばりすぎ
てはいけません。問題を解決する方法は唯一ではないし、責任追
及にも唯一の方法はありません。
この点は、プロジェクトマネジメントに自信のある方は意外に落
し穴にはまります。つい、自分の知識や正しさを主張して外注先
の落ち度を指摘したくなるかもしれません。
「仕様書になくても、計算結果が合わないのはそちらの責任だ」
繰り返しますが、大切なのはシステムの中身であり責任云々の議
論を繰り返しても仕方ありません。マネージャーはプロジェクト
の目標を達成させることに責任を持ちます。
もちろん、不具合の原因については徹底的に追求します。マネー
ジャーには長期的な視点からWin-Winの関係を築けるような心構え
が求められます。この点を理解した上で不具合の責任分担を交渉
するテーブルにつきましょう。
くれぐれも、目先の勝ち負けにこだわらないように。
参考:「会議が絶対うまくいく法」マイケル・ドイル (著), その他
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第八章「メンバー、マネジャーの心得」より
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【編集後記】
◇インターネット時代のセールスコーチングというセミナーに出席。
セールスパーソンには三段階のレベルがあるそうです。ちょっと心
に響きました。
1.御用聞き 〜お客様は神様だ〜
2.コンパニオン 〜お客様のニーズに応える〜
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文責:幸地司
ITコーチング・ラボ代表 http://www.ai-coach.com/itcoach/
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