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Vol.0032
社長の頭は資金繰りで一杯
2004/8/12
◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 717部発行━
◆◆ プロジェクト失敗学「営業・経営・政治」編
◆◆ http://www.ai-coach.com/
【目次】
1.技術者の未稼動は命取り
2.社長の頭は資金繰りで一杯
3. 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/08/12(Vol.32)━◆
■ 技術者の未稼動は命取り
──────────────────────────────
▽4次請け企業
「すいません。60万は高すぎます。50万なら契約します」
▽ソフトハウスの営業マン
「そうですか、厳しいので社長と相談します」
▽営業マンは社長室のドアをノックしながら
「50万なら契約するそうです」
▽社長
「短期だし、しょうがないな。それでいいから早く決めてくれ」
プログラマの月給を30万円だとします。
このプログラマ1名を確保するために、会社は大体いくら負担して
いることになるのでしょうか?
(東京都/プログラマ売買の舞台裏)
■ 社長の頭は資金繰りで一杯
──────────────────────────────
前号までに、ソフト業界では4次請け、5次請け、6次請けが当り
前だという事例を紹介しました。下請企業は、何故、成約を急ぐの
でしょうか?
5次請けともなると、その会社は本当に儲かっているだろうか?
Vol.31→ http://www.ai-coach.com/backno/failproj0031.html
下請専門のソフトハウスにとっては、技術者の未稼動が怖い。特に
正社員の技術者の場合は。
恐らく、この未稼動リスクに対する恐怖感は、人を雇用したことが
ある社長にしか理解できない気持ちかもしれませんが・・・
だから、売上=0円より、50万円の契約でも取りたいのです。
一日でも早く。
特に小規模のソフトハウスにとって、1人の未稼動が命取りになる
かもしれません。
あなた「命取り?そんなことで?」
私「そうです」
あなたも、社長(経営者)の立場で考えてみて下さい!
正社員であるあなたへの支払いは毎月、必ず発生します。
そう、固定費的に。
でも、社長にとっては、技術者であるあなたへの毎月の支給額以外
に、次のような付帯費用も同時に支払わなければならないのです。
・あなたのボーナス
・オフィスの賃料
・営業マンの人件費
・管理部門の諸経費
・社会保険料(会社負担分)
・借入金の返済
・税金
などなど
毎月、膨大な金額が会社から出て行ってしまう。支払いはノンストッ
プ。ですから、入金をストップさせるわけにはいかないのです。
仮に、技術者であるあなたへの毎月の支給額を100としましょう。
結局、社長さんは、あなた1人当り、上記付帯費用を含め、大体い
くら負担していることになるのでしょうか?
勿論、変動要素を考慮する必要はありますが、
それは、えいやで、170前後。
あなたへの支給額の実に約1.7倍!
例えば、技術者Aさんの支給額を30万円/月とした場合。
会社負担は、なんと、30万×1.7=51万円/技術者人月。
従って、50万円で成約した場合でも、やっと損益分岐点。
全く儲からない!
もし、技術者Aさんが1ヶ月間社内で待機した場合は何がおきるの
でしょうか?
そうです。売上はゼロ。
そして、入金もゼロ。
しかし、支払いはノンストップ。
結果として、51万円が持ち出しです。
こうなるとそのリカバリー(回収)は困難を極めます。
運良く、翌月から、この技術者Aさんが60万円毎月稼ぐことになった
としても、単純計算で、利益はたった、9万円/人月(60-51=9万円)。
この場合、1ヶ月の持ち出し分51万円を回収するのに何ヶ月かかる
計算になるのでしょうか?
あなた「約6ヶ月(51÷9≒6)でしょ?」
私「そうです。回収に半年もかかるんで!」
こうなると、社長の頭は資金繰りで一杯。
社長の自問自答「運転資金の借り入れ枠は残っているだろうか?」
猛烈なストレス。
社長のお酒の量が増えるのも無理ないのかもしれませんね。
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■ 今日のポイント
──────────────────────────────
未稼動リスクを回避するために、会社は赤字覚悟で安値受注に走り
ます。ストレスを感じてるのは、社長さんだけではありません。
会社が儲からないと、どこに直接、しわ寄せがいくのでしょうか。
SEであるあなたを、
PGのあなたを、
直撃します。
・定期昇給の見直し(正社員の場合)
・残業、諸手当のカット(正社員の場合)
・ボーナス支給額の圧縮(正社員の場合)
・報酬金額の圧縮(契約社員、フリーランサーの場合)
などなど。
あなた
「わたしは、会社の指示に従って、一生懸命やっているだけだ」
「どうしてこんな目にあうんだろう」
「自分の成果や能力に見合った収入がほしい」
「収入が会社の実績に左右されるなんて」
「このような状態(不安や苦痛)はいつまで続くんだろう」
あなたの仕事に対する「モチベーション」が心配です。
仕事に対するモチベーションはプロジェクトの成否に影響を与える
可能性があります。
それは直接「プロジェクト」の活力に影響を与え、「会社」そして
「ソフト業界」全体を直撃するかもしれません。
社長も一生懸命ですが、なかなか儲かりません。あなたも一生懸命、
でもなかなか収入が増えません。
みんな、なんとかしたいと思っています。
今すぐに。
SEPG費用対効果的実践会 干場得男
文責:幸地司
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【編集後記】
先週から、ビジョナリー・カンパニー2を読んでいます。原書のタ
イトルが"Good to Great"。「良好は偉大の敵である」からはじまる
衝撃の名著。大企業向け経営書の類ではありますが、プロジェクト
マネジメントにも大いに役立ちます。
良から偉大な企業へと躍進するには、「最初にヒトを選び、その後
に目標を選ぶ」とあります。
PMBOK(人的資源マネジメント)にもあるように、プロジェク
ト発足時にヒトの問題をすべて片付けておくのは賢いやり方です。
もしかしたら、プロジェクト成功の大部分は目標設定よりも、適切
な人員配置に因るのかもしれません。
「一人の天才を大勢で支える」方式はとってはいけない!
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ITコーチング・ラボ代表 幸地司
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