|
Vol.0027
◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆ プロジェクト失敗学「営業・経営・政治」編
◆◆ http://www.ai-coach.com/
【目次】
1.部下に会社の窓口役を任せる法
2. 編集後記
※過去記事→ http://www.ai-coach.com/backno/failprojlatest.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/04/23(Vol.27)━◆
【本日の問いかけ】
『行動障壁をさげる戦術は一時的なものです。断続的に部下にプ
レッシャーを与え続けるとどのような結果になるでしょうか』
──────────────────────────────
■ 事例その2 〜部下に会社の窓口役を任せる法〜
──────────────────────────────
○以下は実話でなく、いささか大げさに描いた架空事例です。
ソフトウエア開発業界を想定しています。
(事例2)
ある日、小さな会社の幹部候補生でプロジェクト・リーダーのC
さんは、上司がDさん(Cさんの知らない人)に宛てたeメールを
CC(Carbon Copy)で受け取りました。
貴殿の入社に関しては、Cが窓口となります。
詳細は伝えてありますので、今後はCと話を進めてください。
○何のことやら背景がさっぱりわからないCさん。しばし戸惑って
いると、上司から電話で指示がありました。
Dさんというエンジニアが我が社へ採用応募してきた。
XX分野に詳しいようだから、XX担当として君の下につけたい。
すぐに面接して詳しい業務内容を詰めるのと、
技術スキルを判断して適当な待遇条件を私に提案してくれ。
○Cさんは早速Dさんとの面接をセッティングしましたが、会って
話を聞いてみると、どうもかみ合いません。
○Dさんは、Cさんの上司と一次面接を済ませており、仕事と待遇
については希望通りでOKを貰っている、今日は現場担当者との顔
合わせに来たのだと主張します。(以下、→はCさんの本音)
・自分はXXよりもYY分野を極めたい。
入社後はYY分野をやらせてくれると言われた。
→ XX担当じゃないのか。YY分野などウチはやらないぞ。
・給与待遇は、かくかくしかじかで話がついている。
→ そのスキルでは無理。自分だってそんなに貰ってないぞ。
・リーダー的なポジションを与えると言われた
→ それじゃ自分と同列。部下候補じゃなかったのか。
○Cさんは上司から言われた構想と自分が判断した給与待遇の見込
みを伝え、現実的な交渉をしようとしました。
○しかしDさんは、それでは話が違う、貴重な時間と交通費をかけ
て訪ねてきたのにこの仕打ちは何だ、訴えてやる、といきり立っ
てしまいました。Cさんは、またあの上司にしてやられたかと胸
の中で舌打ちしながら、どうにか事を収めようと必死に説得を続
けました。
(事例2ここまで)
──────────────────────────────
■ 事例2の考察
──────────────────────────────
○ここで、Cさんの上司は二者に対して戦術を用いています。まず、
Dさんが先に他社へ流れてしまわないよう、Cさんと面接を行う
までの間、Dさんが関心を自社のみに向けるという結果を導くよ
うな原因をDさんに与えました(=望み通りの仕事・待遇を約束)
○そして、Cさんに対しては、Dさんに会社側の都合を受け入れさ
せるという結果が求められます。CさんはDさんの夢を打ち砕き、
怒りを一身に集めつつも厳として現実路線の交渉を進め、しかも
トラブルを表面化しないという損な汚れ役を演じなければなりま
せん。
○ですから、もしも上司が最初に事実を示せば、Cさんはおそらく
拒んでいたでしょう。たたでさえプロジェクト管理の本業が忙し
いのに、そんな茶番の尻拭いに付き合っていられるかと。そこで
Cさんの行動障壁を下手に高くしないため、形式的な普通の技術
面接であるというストーリーが必要になるのです。一度行動を起
こさせてしまえば、あとは逃げられない状況の中で、必死に結果
を出そうと最大限に努力してくれます。
※私の観察によると、会社の窓口役を任された状況において、すべ
ての事情をさらけ出して相手とすり合わせを図るサラリーマンは
いません。なぜか皆、現実をストーリーに合わせようと必死で取
り繕ったり、自分の責任で事を収めようとします。
○なおここでも、指示にメールのCCと一方的な電話連絡を用い、即
座の取り掛かりを命じることで、Cさんから上司へフィードバッ
クする機会を与えていません。Cさんの関心を結果のみに向かわ
せ、前提を疑わせたり検証したりする余裕を与えていないのです。
○さて、ではこの戦術を継続的に用いると皆がつねに望み通りに行
動し、大きな成果をあげるようになるのでしょうか。
ITコーチング・ラボ パートナー 内山幸央
http://www.ai-coach.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□相互広告は大歓迎です♪ → mailmag@ai-coach.com
発行部数や発行頻度は問いません。週末起業フォーラム
認定コンサルタントと知り合いになる絶好のチャンス!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
発行が一ヶ月遅れてしまいました。毎号楽しみにお待ちしてい方、
大変申し訳ありません。その間、本や連載記事を出すための企画書
を作成したり、都内の独立系ベンダー(※)で中国オフショア開発
の社内セミナー講師をつとめるなど忙しくしていました。
セミナーで中国オフショア開発のケーススタディを紹介したところ、
かなり反応がよくって驚きました。詳細は姉妹メルマガ「中国ビジ
ネス入門 〜初めてでも失敗しない対中交渉〜」で取り上げます。
(※)日本アドバンストシステムの中村様、重田社長、大変お世話
になりました!→ http://www.nasbi.co.jp/
「中国ビジネス入門 〜初めてでも失敗しない対中交渉〜」
→ http://www.ai-coach.com/cip.html
ITコーチング・ラボ代表 幸地司
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ご意見・ご感想→ mailmag@ai-coach.com までお気軽にどうぞ!
□購読登録・解除→ http://www.ai-coach.com/itcoach/mailmag.html
…………………………………………………………………………………………
□発行元 :アイコーチ有限会社 http://www.ai-coach.com/
□発行責任者 :幸地司
□発行システム:まぐまぐ(ID:114056), Melma(ID:m00095788)
□過去記事 :http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000114056
…………………………………………………………………………………………
Copyright 2003-2004 ITコーチング・ラボ All Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
↑先頭に戻る
| |
中国オフショア開発専門ブログ
|
みなさまの応援のおかげで、日本唯一の中国オフショア専門ブログも頑張ってます。ブログの記事に満足された方は、上記サイトから人気ランキングのバナー画像をクリックしてください。一緒に盛り上げましょう!
|
|