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顧客の奴隷にならない

仕様変更を伝えるタイミング
お客様(元請け)から仕様変更の依頼を受けた時、その都度中国に伝達したら、現地は絶対に混乱してしまうだろう。実際、仕様変更が二転三転して、結局は元に戻った!、何てことも日常茶飯事。

(日本人読者)

・本誌第564号より

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(昨日の続き)

多発する「仕様変更」を上手に伝える方法に関して、たくさんのコメントをいただいた。その一部を紹介する。

1 どちらかといえば、調整後の結果を伝えるべきです。但し、スピードと確実性が重要です。いつも間際になって大きな変更 を要求したり、二転三転してしまっては受ける側が混乱します。  1.仕様変更を予測した開発期間を確保すること  2.影響度合いを把握しておくこと  3.顧客の奴隷にならない

(日本人読者)


2 私のアパレル製品という物理的な加工商品においては、日本側も中国側も生産工程を殆どが同じレベルで理解している、またほぼ生産工程が同一であることから生産者・購買者双方の会話が進む一つの理由であり、ソフト開発でそこまでプロセス管理・プロセス分析が出来ているのかが、鍵になると思います。

(日本人読者)


3 「即座にそのままの内容を伝えるべき」と回答しましたが、これは「この仕様でやれ!」ではなく、あくまでも仕様変更に対する相談を持ちかけ、中国側の合意を取った上で行えば、中国側の担当者も残業・休出もモチベーションを上げて対応してくれると思います。 

(日本人読者)


4 私が勤務する自動車部品会社でも、出荷・発送の締め時間をとっくに過ぎているのに、受付の人間が「これ頼まれちゃったから送ってくれ」と言って来る。現場はその度に不快感を覚える。本来は追加発送を受けた者が、翌日にしてほしいときちんと言うべきだが、既出のコメントにあるように「客の奴隷」になって対応できない。

(日本人読者)

↑ご意見ありがとうございます。コメントしてくれた4名は
 全て日本人でした。珍しいなぁ。(幸地)


■成功の勘所

「これくらいの仕様変更は対応して当然だ」

このような考えは中国側の反発を買いやすい。感情を伴うコミュニケーションが極端に少ないオフショア開発プロジェクトは、例外なく失敗するだろう。中国ベンダーが仕様変更に対応してくれたら、どんな小さなことでもよいから、即座に感謝の意を表し、賞賛を与えるべきである。


2006年12月27日 11:25 in | コラム , 仕様関連 | 固定リンク |

 

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コメント

>「日本側も中国側も生産工程を殆どが同じレベルで理解している、またほぼ生産工程が同一であることから生産者・購買者双方の会話が進む一つの理由であり、」

残念ながらソフトウェア開発ではこれが成立しないことが多い。通常は発注者側は素人で、技術的なことが一切分からない人も少なくない。
例えば既に作られたTシャツに、「ポケットを一つ追加する」のような簡単な変更をする際も追加料金が発生するのが当然だろう。「長ズボンの丈を5cm短くする」や「Tシャツの色を白から赤に変える」でも同じ。しかし「長ズボンのウエストを5cm長くする」や「Tシャツの色を黒から赤に変える」や「半袖シャツを長袖にする」だと、これはほとんど作り直しになるだろう。こういう事が素人にも容易に想像できるし、想像できるからこそ無理な注文はあまりしない。
ソフトウエアの場合はどの部分の変更が、どの程度のコスト増に結びつくかは自明ではない。素人は「このくらいなら簡単だろう」「前の業者ではやってくれたから、今度の業者もきっとやってくれるはずだ」という勝手な想像で話を進めようとする。しかし、この想像は外れることが多いものだ。

>「ソフト開発でそこまでプロセス管理・プロセス分析が出来ているのかが、鍵になると思います。」

ソフトウエアに関してはそういうレベルで共有できることはまずない。これは「人月の神話(The Mythical Man-Month)」(by Fred Brooks)以来変わらない事実と言って良い。これはソフトウエアの持つ、本質的な複雑さや多様性によるものなので、近い将来において劇的に改善されることはないだろう。

例えば洋服の場合では、それを着るのはほとんどが人間だ。人間の洋服を作る限りにおいて、その身体的な特徴に従うのは自明だろう。そしてその特徴は、世界中の人間を比較してもほとんど共通している。頭は一つしかないし、腕が二つ、足が二本、手足の指が5本というのは、なんと全世界で共通なのだ。(事故で失った場合やある種の病気は除く。)胴体の上に首と頭が繋がっていることや、腕が肩から伸びているのも万国共通だ。身長も、多少の違いはあるが、最高で2m前後。頭が二本で足が10本で身長10mの人間などいないのである。だから洋服に求められる要求も、かなりの部分で万国共通になるし、製造プロセスも共通のものにし易い。
だが、ソフトウエアではこの「常識」は成立しない。

>「コメントしてくれた4名は全て日本人でした。珍しいなぁ。」

頻繁に入る仕様変更に対し、「これくらいは『追加料金無しで』やってくれて当然だ」というのを、「当然だ」と思うのは日本人(の発注者側)だけということではないでしょうか。対等なビジネスにおいて、原則として、コレはあってはならないことのはずです。
日本の常識は世界の非常識かもしれませんよ。

投稿者貧乏神:2006年12月28日 04:02

>「コメントしてくれた4名は全て日本人でした。珍しいなぁ。」

台湾地震の影響かもしれません。

投稿者幸地 司:2006年12月28日 17:12




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