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効果的なコミュニケーションを支える4つの原理原則 2008/5/2
仕様変更を丸く収めたい
初めての中国オフショア開発ですが、当初の想定よりも仕様変更が増えました。明日、追加請求の件で、先方の総経理と直接対談します。どんな点に気をつけたらよいでしょうか?
(日本企業/プロジェクトマネージャ)

「仕様変更が収束しない」など一方的に発注側に非があったとしても、単純に追加請求を受け付けるほど予算的な余裕はない。さて、あなたが日本側のプロマネなら、どう対処すべきか。

残念ながら、中国企業との交渉に万能薬はない。そのため、原理原則でお茶を濁すしかないが、以下の4項目はすぐにでも応用が利くだろう。

・十分に時間をかけて交渉を進める
勢いに押されてその場で意志決定しないこと。
交渉場所が(  )なら、なおさら焦らずじっくり対話すること。

・相手方の憤りや怒りなどの感情を素直に受け止める
責任論などの理屈はいったん脇に置いて、相手の感情に配慮する。
目的を見失わず、当事者と(   )を切り分けて議論すること。

・総論より各論を意識して、的確なフィードバックを与える
一般論ではなく個別具体論で対応する。フィードバックを与える際には、「その場で」「   」「具体的に」の三原則を遵守すること。

・全ての言葉遣いや数字・データを丁寧に正確に扱う
勢いに押されて、何でも「はいはい」と流さないこと。日本語で交渉する際には、主語や指示語の曖昧さに留意すること。文脈に依存する表現(high context)が出てきたら、その都度確認する。


■成功の勘所

どんなに厳しい交渉の場面でも、根底にあるのは効果的なコミュニケーションを支える原理原則である。

・十分に時間をかけて交渉を進める
・相手方の憤りや怒りなどの感情を素直に受け止める
・総論より各論を意識して、的確なフィードバックを与える
・全ての言葉遣いや数字・データを丁寧に正確に扱う


2008年05月02日 08:42 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

どんな手続きが必要ですか 2008/4/28
査証申請などの諸手続について
中国人技術者を日本に呼ぶときに面倒な手続きは必要ですか?
(よくある質問)

あなたが勤める会社で、中国から技術者を日本に呼び寄せたいと思ったら、査証(visa)に関する一連の申請手続きが必要である。加えて、設計情報などの役務が海外に流れてしまうので、外為法に基づく一連の輸出手続きも必要である。

目に見える法的な手続き以外にも、面倒な作業は山ほどある。連絡先を確保するために携帯電話を持たせたいが、個人で支払うためには銀行口座の開設が先決だったりなど、素人が自力でやるには手間が多すぎる。

リーダ候補の中国人技術者を日本に呼び寄せて、半年後に中国に戻して現地で活躍してもらいたい。こんな思いで、中国との人的交流を図る会社は多い。

でも、せっかく日本で研修したのに、すぐに他社に転職されないかどうかも気になる。中国の労働法改正によって、約束違反に対するペナルティの与え方が大きく変わった。


■成功の勘所

査証申請などの諸手続について、一般には専門業者や海外技術者の派遣を得意とする人材サービス業者の支援を仰ぐことが多いだろう。システム開発専門の日本人が、こうした申請実務に介入することは少ないが、知識としては知っておいても損はない。



2008年04月28日 07:00 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

UML普及に向けた大きな課題 2008/4/24
UML普及
オフショア開発でもUMLは使えますか?
(よくある質問)

中国向けオフショア開発においては、残念ながらUMLが持つ真の力を十分に発揮し切れていない。オフショア大學にも参画する、日本におけるオブジェクト指向開発の権威である長瀬嘉秀氏は、日本と中国それぞれに原因があると指摘する。

日本側の原因

欧米でのUMLの普及率は7割を超えているのに対して、日本ではまだ1割程度しか普及していない。そもそも実力不足。


中国側の原因

大学などの教育機関で、未だに平然と古いバージョンのUMLを教えている。UML用語の中国語訳が統一しないなど、本格的な普及に向けては課題が山積する状態。


■成功の勘所

日本側ではシステム分析者、設計者、プロジェクト管理者を配置して、さらにオフショア側からブリッジSEに参加してもらう。オフショア側では、製造と詳細設計を行えるメンバーを揃えて、開発だけに専念する。当面は、この役割分担でUMLによる中国オフショア開発は進められる。



2008年04月24日 09:13 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

ベトナム人が日本語を学ぶ時間は中国人の2倍以上 2008/4/23
ベトナム人の日本語力
ベトナム人技術者も頑張れば日本語を話せるようになりますか?
(よくある質問)

中国との比較において、ベトナム人技術者の日本語力は格段に劣る。一般に、ベトナムとのオフショア開発では、”コミュニケータ”と呼ばれる通訳を介して意思疎通が図られる。

一般のコミュニケータは、日本語を専門に学ぶ文系出身の若者であり、女性の比率が高い。オフショア開発PRESS特集1でも指摘するが、中国と同様に英語を交えて会話する方が日本語だけの会話よりも断然に効果が高い。


■成功の勘所

オフショア開発PRESS 特集2「ベトナム最新事情」を執筆した霜田氏によると、日本語学習にかかる時間は一般的に中国人の2~2.5倍を要する。霜田氏は、続けてこう力説する。

「文系出身の通訳でも、日本語堪能なブリッジSEでも、日本側が相手に分かりやすく伝える努力は同じである」


2008年04月23日 21:54 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

社内にオフショア開発研究会を立ち上げて壁新聞を発行する 2008/4/22
笛吹けども踊らない組織
我が社ではトップからオフショア活用の方針が明確に打ち出されています。私自身もオフショア開発には期待しています。ところが、周りの雰囲気は違います。公言しませんが、オフショア開発への反発は相当根強いと感じています。沈滞化した組織の雰囲気をどうすれば改善できるでしょうか?
(よくある質問)

オフショア開発に反対する者、口には出さないがオフショア開発に対して不信感を持つ者を総称して”オフショア開発抵抗勢力”と呼ぶ。

ただし、オフショア開発抵抗勢力=悪だと単純に決めつける構図ではない。むしろ、オフショア開発への抵抗は、現場力が強い良い意味での日本的な特徴だと受け止める方が自然な発想である。

※今後、負の印象を与える”オフショア開発抵抗勢力”という呼び方は避けるべき?


さて、相談された「笛吹けども踊らない組織」への処方箋について。私なら、社内にオフショア開発研究会なる非公式コミュニティを立ち上げる。

情報を共有し、社内外に点在するオフショア開発に関する有益な知見を一ヶ所に集積させるのが狙いである。この際、社内掲示板などITの活用は言うまでもないが、あえてアナログな手段の活用を提案したい。


■成功の勘所

オフショア開発に反対する沈滞化した雰囲気を改善する方法を思いつくまま列挙する。

・オフショア開発研究会なる非公式コミュニティを立ち上げる
・立ち上げ当初は、コミュニケーションの質よりも量を優先する
・「会話」から始めて、徐々に「対話」の雰囲気に移行する
・紙媒体の社内報(○×社オフショア開発通信)を発行する
・相手国とTV会議するなら、相手を大きな画面に映し出す


2008年04月22日 11:01 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

最終納品ドキュメントは日本人が作る 2008/4/17
疑念ぬぐえぬ中国の日本語ドキュメント
中国ベンダは、日本語の納品物を作れますか?
(よくある質問)

中国ベンダの日本語ドキュメント作成能力に関する質問は多い。中国オフショア開発では、メールやQ&A連絡などほとんどの意思疎通は日本語で行われる。

だが、最終顧客に納品する報告書の類については、常に心配がつきまとう。もし、あなたが日本人と同等な文章力を望むなら、最終校正を担う日本人を雇った方が手っ取り早い。

例えば、システム管理者向け保守マニュアルは中国ベンダが作成するが、システム利用者向けのユーザガイドは編集能力に長けた日本人が担当する。


■成功の勘所

あなたが、言葉や文化の壁でお茶を濁さないプロフェッショナルを目指すなら、次の4ステップを参考にして欲しい。

Step1.混沌
Step2.同化
Step3.融合
Step4.統合

中国ベンダに「日本人と全く同じ」を求める姿勢は、第二ステップの「同化」の特徴である。同化とは、どんな料理が出されても、味見する前に無意識のうちに醤油をかける行為に喩えられる。早死にする原因にもなるので、心当たりのある方は要注意。

「同化」は進化の過程に欠かせないプロセスだが、決して最終地点ではない。詳しくは、オフショア開発PRESS特集3参照のこと。
 
『オフショア開発PRESS』公式サイト


2008年04月17日 23:20 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

マネジメントの要諦は業種や国籍に関係なく共通か? 2008/4/16
大事なポイントは日本も中国も同じ
オフショア開発 PRESSを読みました。結局のところ、マネジメントの要諦は業種や国籍に関係なく共通すると思いました。この考えは正しいでしょうか?

※参考「オフショア開発PRESS」目次+記事概要


(よくある質問)

オフショア開発の議論を進めると、必ずと言っていいほど「大事なポイントは日本も中国も同じ」といった趣旨の発言が飛び出す。果たして、その考えは正しいだろうか?

正解は「抽象化のレベル」によって変わる。PMBOKのような高度に抽象化された知識体系を念頭に置くなら、大事なポイントは日本も中国も同じ。居酒屋のトイレの壁に貼られた「原理原則」も、基本的には業種や国籍に依存しない。

一方で、文章の書き方、面子への配慮、メールや国際電話の作法、食事や挨拶、宗教、休憩時間の過ごし方といった個別具体論については、業種や地域性がくっきり分かれることは言うまでもない。

オフショア開発を成功させるという共通目標があるにも関わらず、一部の中国開発者は、レビューや品質保証に過度に介入する日本人リーダの言動に対して、次のような疑問を投げかける。

日本人リーダ
「自分が修正した不具合を整理してください。そして,なぜそのような修正を行ったか,つまり不具合修正の理由をまとめておいてください。あとでそれに関する質問を行いますので,しっかり準備しておいてください」

中国開発者
「そもそも,修正理由や関連知識に対する質問をする必要があるのですか?私は,修士号を取得しましたし,これまでも実力で評価を得てきました。一つの不具合を修正するため様々な調査をしました。それは,結果と修正コードを見てもらえれば,わかるはずなのに。明らかに日本人は私を信頼していません。屈辱です」。

中国開発者
「信用していないのなら,なぜ仕事をくれますか?」

第1回 中国開発者から見た変な日本人リーダー


■成功の勘所

オフショア開発の評価の場で、あなたの部下(あるいは上司)から「大事なポイントは日本も中国も同じ」との発言があった。あなたは、どんな反応をすればよいだろうか。特定の場面を想定して、代表的な問答集を予め準備しよう。



2008年04月16日 11:31 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

ソフトウェア開発のどこが輸出ですか? 2008/4/15

中国でシステム開発を行なう際にも輸出手続が必要ですか?
(よくある質問)

日本から外国にモノや情報を持ち出す場合には、基本的に全て輸出手続が必要となる。全てというのは、日本から中国に送る提案依頼書や仕様書をはじめ、無償・有償で貸与するソフトウェアも全て含む。

輸出管理は世界中の法律で定められており、ルール違反すると色々問題になる。

※参考情報
・ヘリ不正輸出、ヤマハ発動機
・対共産圏輸出統制委員会 - COCOM(ココム)

(興味ある方はネットで検索してください)


■成功の勘所

あなたの会社で提供物の履歴を取るのはもちろんのこと、相手先でどのような管理体制にあるのかを事前に知っておくべきである。

基本契約書では「輸出管理手続きをキチンとやる事」と定めることが多いと聞いている。あなたは取引先がどのような仕組みで情報管理しているかを本当に知っているだろうか?


2008年04月15日 15:32 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

これまでのやり方では開発期間の短縮は難しい 2008/4/14
オフショア開発で納期短縮
短納期ですが、それでもオフショア開発できますか?
(よくある質問)

これまでの中国オフショア開発のやり方では、納期短縮は極めて難しい。これが私の意見である。

オフショア開発の最大の利点は開発費の低減である。最近は、開発要員の確保を目的と公言する者も少なくないが、理想と現実のギャップは大きい。

米国とインド間のオフショアリングでは、コスト削減だけではなく納期短縮も実現されているという。だが、彼らは「これまでの中国オフショア開発」とは全く異なる仕組みで動いているため、単純な比較は意味がない。

インドで開発期間を短縮したという噂話。

・米国とインドの時差を利用した開発(よく聞く噂だが・・・)
・米国では不可能な世の中にない新製品をインドで開発
・2交代制による24時間体制で開発
 (好待遇の夜間勤務はインド人に歓迎されたという)


■成功の勘所

あなたは、実際にオフショア開発で期間短縮に成功したことはありますか? 製造工程が短縮されても、前後の工程が長引けば期間短縮とは認めません。

◆期間短縮に成功したことがある
◆国内開発と同期間を実現した
◆国内開発よりも長引いたことしかない
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2008年04月22日23時00分
協力:クリックアンケート


2008年04月14日 06:50 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

中国人IT技術者の離職率を決定する要因 2008/4/10
中国人IT技術者の定着率
離職率が高いって本当でしょうか?
(よくある質問)

日本人と比べると、中国人の転職率は圧倒的に高い。だから、中国人IT技術者の離職率は高いか?と聞かれたら、答えは「YES」。ただし、日本と比べて中国は広い。さらに、多様な地域文化、方言、少数民族が存在して、一口に「中国は・・・」と語っても意味がないことが多い。

そこで、これから中国オフショア開発を始める初心者は、中国を分析するための有益な切り口をいくつか用意するといいだろう。

・地域別
・年齢別
・学歴別
・役職別
・年収別
・・・・・


■成功の勘所

一般論として、デモグラフィックス(demographics)、すなわち人口統計上の属性によって中国人IT技術者を細分化する分析は有効である。

中国人IT技術者の離職率は、年齢、職務経験、既婚・未婚、勤務地、そして出身地と勤務地の相性などに影響するといわれる。

心理学の専門家は、サイコグラフィックス(psychographics)、すなわち思考や価値観、行動志向などの特性によって中国人IT技術者の勤務態度や職務適性を判断する。アセスメント(accessment)といわれる高度な専門領域である。

中国事情通は、無意識のうちにデモグラフィックスとサイコグラフィックスの両方を総合的に扱って中国人IT技術者の様々な特徴を判定する。


2008年04月10日 23:09 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

間接オフショア開発はLow Risk High Return? 2008/4/7
間接オフショア開発
遅ればせながら、わが社でもこれからオフショア開発を始めます。まずは、長年取引を続けてきた国内パートナーを経由して間接的にオフショア発注を始めたいと思います。何か注意すべき点があれば教えてください。
(機械メーカの情報システム部門)

間接オフショア開発とは、従来型の国内パートナー企業を経由してオフショア発注すること。国内のオフショア専業会社や中国ベンダの日本法人を経由することは、直接オフショア開発と定義する。

【読者アンケートより】

・間接オフショア開発のメリットは大きい (44票) 71%
・間接オフショア開発のメリットは小さい (17票) 27%
・その他 (1票) 2%

参考「間接オフショア開発は効果的ですか?」


間接オフショア開発の提案に積極的な営業担当者は、顧客に対して「うちを経由すれば、お客様にはオフショアを一切意識させません」と、従来と全く同じ取引形態であることを強調する。

間接オフショア開発を持ちかけられたユーザ企業の情報システム部門としては、外注管理の手間は従来と同じ。外注費はオフショア活用の分だけ削減される。まるで夢のような世界が待っている。


■成功の勘所

間接オフショア開発では、原則として海外拠点の開発者とのコミュニケーションは発生しない。したがって、顧客を取り巻く市場環境や開発案件の裏舞台など仕様書で表現されない背景は、国内パートナー企業を経由して海外拠点に伝える。

うがった見方をすれば、下請けいじめ的な発想で「オフショア開発のリスクはパートナーに押しつける一方、オフショア活用のコストメリットは自社が享受する」こともあり得る。


間接オフショア開発に関する質問。営業マンが顧客に対して「うちを経由すれば、お客様にはオフショアを一切意識させません」と提案しました。顧客はオフショアのリスクを負わずに原価低減の恩恵を享受する。あなたは、この営業方針に賛成ですか?

◆賛成
◆反対
◆その他(理由をコメントボードにお書きください)

○結果を見る
○コメントボード


締切:2008年04月14日23時00分
協力:クリックアンケート



2008年04月07日 07:08 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

背水の陣で臨むべきか 2007/11/28
バグ多発しても
どのような状況でもいざとなれば、自分で修正する・・・もう少し広げて言えば、自社で十分修正できる経営資源の余裕のない会社が、中国と取り組むのは無謀。
(読者アンケートより)

体力のない会社は、中国オフショア開発に挑戦してはいけないのか。リカバリには、金と時間と人、そして強靭な精神力が欠かせない。ということは、四拍子揃った会社でないと、中国発注は無謀だろうか。これは、興味深い問いかけである。

アウトソーシング業界で語られる重要な鉄則を紹介する。

これからアウトソーシングをはじめる企業では、まず自社の保有技術を詳細に棚卸して、企業の競争力の源泉となるコア・ケイパビリティ(capability)を特定するのが定石だ。一般には、戦略的に重要な技術やノウハウをアウトソーシングしてはいけない。


■成功の勘所

あなたの会社で「中国に出してはいけない分野」を全て洗い出そう。そして、アウトソーシングすべきでない分野(コア・ケイパビリティ)がオフショア発注されていないかを検証せよ。

次に、中国オフショア開発で失敗したときに発生する回収費用、対応時間、そしてリカバリ要員数を概算せよ。あなたの会社が、最悪な状況を容認できるかを検証せよ。作り直しの手間、保守体制、お客様への謝罪と賠償責任など、全ての可能性を考慮せよ。


2007年11月28日 07:40 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

後発組のコールセンター参入 2007/11/1
BPOとは、Business Process Outsourcing の頭文字
企業が自社の業務処理(ビジネスプロセス)の一部を、外部の業者にアウトソーシングすること。社内業務そのものを情報システムの運用とともに、外部に委託するBPOが登場した。
@IT総合トップ > 情報マネジメント > 情報マネジメント用語事典

国内BPOを立ち上げる際の留意点を考える。まずは、先日のプレミアム版メルマガで紹介したケーススタディをご覧あれ。


【Case study】後発組のコールセンター参入

東京に本社を構えるA社は、中国大連にオフショア開発の拠点を構える独立系ベンダである。顧客の要望に応じる形で、ソフト開発だけではなく、BPO(データ入力、事務処理、コールセンター)分野にも進出済みだ。A社は、大連に自社ビルを建設する予定である。A社の大連への入れ込みは、紛れもなく本物である。

そんなA社が、ある金融機関からコールセンターBPO案件の引き合いを受けた。現在首都圏で稼動する数百席のコールセンターを大連に移管したい構え。ところが、顧客は、すべてを中国BPOするのは経営リスクが高いと考えている。

そこで、A社は、主部隊を大連に、補助部隊を国内の田舎に配置するコールセンターBPO体制を提案したいと考えた。ただし、A社は国内でのコールセンター運営の実績はない。さらに、一般市場では、A社のブランドは全く認知されていないとする。


【問いかけ】あなたがA社の提案責任者なら、どうすれば勝てるか。


■成功の勘所

コールセンター業務のアウトソーシングは、オフショア開発よりも動きが早いので、先行指標として常に確認しておきたい。コールセンターBPOを流行・周期を押さえておくと、次にオフショア開発が進むべき道が見えてくるだろう。


2007年11月01日 23:32 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

プログラマの初任給は3,000元を超えてきた 2007/10/15
オンサイト限定案件は増えたか?
・オンサイト限定案件が増えた (43票)61% ・オンサイト限定案件が増えた。オフショア委託も増えた(11票)16% ・オフショア委託は減った。オンサイト限定案件は不変 (5票)7% ・分からない (9票)13% ・その他   (2票)3%
(アンケート最終結果) http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/2007/10/post_409b.html

最近、本当にオンサイト限定案件は増えたのだろうか。前出の読者アンケートは、当初の仮説を裏付ける結果を示した。ただし、アンケート結果は必ずしも真実を映し出すとは限らない。あくまでも、業界の心理を示す結果である。

一方で、確実に正しいと思われる現象が、メルマガ読者から多数報告されている。それは、中国から大量のIT技術者を日本に呼び寄せて、客先常駐させる案件が増加していること。

上海の友人から届いた興味深いおたよりの一部を紹介する。

・上海の有名大学を卒業したプログラマの平均給与は3000元を超えています。会社の負担分を加味すると、原価は6000-7000元/人。オフショア開発のリスクを考慮すると、どうしても□□万円/人月の単価が最低ラインになるでしょう。100%日資の会社では日本人のコストもあるのでもっと高いでしょう。(中国人)


■成功の勘所

業界の噂では、オフショア開発の伸びは微増、もしくは頭打ち。その代り、オンサイト案件が目立つようになってきた。人件費高騰とオフショア発注単価の据え置きから、中国オフショア受託企業のうまみが薄れてきたとの声もある。


2007年10月15日 15:58 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

国慶節に休日出勤する人いますか 2007/10/4
国慶節はスケジュールに入れない
国慶節に休日出勤をさせてしまうと、モチベーションが一気に低下して、チーム崩壊の恐れすらあります。
(オフショア大學)

ご意見『これ以上の休日出勤はお断り』

・納品が厳しく、休日出勤を期待していましたが、中国ベンダから現在の見積では、コストの問題で休日出勤が無理ですといわれました。(オフショア大學)


■成功の勘所

国の定めにより、中国の休日出勤手当ては日本よりもはるかに高い。国慶節期間中の出勤手当ては通常時の3倍だといわれる。中国ベンダ側としても、できるだけ休日出勤を避けたい。その悪影響として、無茶な工数短縮による品質低下が指摘されている。


【クイズ】日本企業はなぜ残業が多いのか

日本企業はなぜ残業が多いのか。中国人と比べた時の日本人の残業の特徴、悪しき問題点を答えなさい。逆に、残業に関して日本が優れる点があれば、具体的に挙げなさい。

答える → mailmag@ai-coach.com


2007年10月04日 17:02 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

確かに中国内需シフトが起きているらしい 2007/10/3
小口発注の継続でも効果の出るオフショア開発とは?
最近、取引しているベンダによっては、小口発注はいらないとまで言うところも出てきています。 (日本人読者)

今週は、日本のオフショアリング市場で噂されるいくつかの話題を検証する。

・日本国籍限定
・オンサイト作業限定
・中国では内需案件が増大する一方、オフショア敬遠傾向が加速?
・3-5年目の中国人IT人材の給与相場が急騰


ご意見『内需案件は増大しているようですね』

・今まではオフショア100%だったけど、そのノウハウを利用して、国内案件対応を始めた取引先があります。ただし苦労しているようです。ビザの問題や優秀な要員確保の難しさから、オフショアへの対応割合を減らさざるを得ないベンダもあると聞きます。

                      (日本人読者)


☆最近はオフショア委託案件が減ったとの噂をよく耳にします。特に中国オフショア委託量が減らされて、オンサイト限定案件が増えたと主張する人がいます。あなたのご意見は?

※どちらともいえない人 → 「分からない」をクリック
※興味がない人 →「その他」をクリック
※別の見解がある人 →「コメントボード」に意見を書き込む
※確かな根拠はなく直感ですが・・→直感を信じて該当箇所をクリック

◆オンサイト限定案件が増えた
◆オンサイト限定案件が増えた。オフショア委託も増えた
◆オフショア委託は減った。オンサイト限定案件は不変
◆分からない
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2007年10月09日23時00分
協力:クリックアンケート


■成功の勘所

【クイズ】優秀なブリッジSEだけ常駐させたい、他は要らない

あなたは、過去に取引実績のある顧客から、自社の優秀なブリッジSEを客先常駐させるよう依頼を受けた。若手中国人プログラマを含むチームで提案したが、体よく断られた。顧客は、欲しいのは優秀なブリッジSEだけなので、コミュニケーションに難がある中国人は要らないという。

仕事は欲しいが、エース級人材を単独で客先に出したくない。さて、あなたなら、どのようにこの交渉をまとめるか。


2007年10月03日 14:54 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

今は調整時期
東京は中国人だらけ
東京周辺には、中国人が溢れている気がします。特にUR公団に行くと、中国人が増えていることを実感できます。

(中国人読者)

10月1日は中国の建国記念日にあたる国慶節。今日から1週間連続でお休みする会社が多いだろう。今週は、日本のオフショアリング市場で噂されるいくつかの話題を検証する。

・日本国籍限定
・オンサイト作業限定
・中国では内需案件が増大する一方、オフショア敬遠傾向が加速?
・3-5年目の中国人IT人材の給与相場が急騰


ご意見『今は調整時期ではないか』

・東京周辺には、中国人が溢れている気がします。特にUR公団に行くと、中国人が増えていることを実感できます。ところが、技術力、マナー、日本語に問題を抱える中国人IT技術者も同時に増えました。しかも、給料は決して安くありません。プログラマレベルなら日本人も多いので、わざわざ問題のある中国人を採用する理由がありません。

(中国人読者)


■成功の勘所

中国人IT技術者を派遣する業者は星の数ほどある。参入障壁が低いので、今後も小規模零細の派遣業者が乱立することだろう。さらに、派遣事業は撤退障壁も低いので、志半ばで市場から退場させられる会社も多いと思う。


☆最近はオフショア委託案件が減ったとの噂をよく耳にします。特に中国オフショア委託量が減らされて、オンサイト限定案件が増えたと主張する人がいます。あなたのご意見は?

◆オンサイト限定案件が増えた
◆オンサイト限定案件が増えた。オフショア委託も増えた
◆オフショア委託は減った。オンサイト限定案件は不変
◆分からない
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2007年10月09日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年10月01日 11:35 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

日本国籍限定 2007/9/27
不良案件が増えた?
最近の案件の9割は「日本国籍限定」です。残りわずかの案件もレアな技術が求められたり、単金が低かったり、いわば「不良案件」が多いです。びっくりしました。

(東京/中国人経営者)

オフショアリング業界全体を見渡して、最近気になる話題がある。

・日本国籍限定
・オンサイト作業限定
・中国では内需案件が増大する一方、オフショア敬遠傾向が加速?
・3-5年目の中国人IT人材の給与相場が急騰

日本国籍限定

・以前と比べて明らかに増えた?
・以前と同じ。単に目立つようになっただけ?

オンサイト作業限定

・組み込み系を中心にオンサイト案件が激増したと多数報告あり

中国では内需案件が増大する一方、オフショア敬遠傾向が加速?

・中国大手オフショアベンダですら、国内案件に急激にシフトする?

3-5年目の中国人IT人材の給与相場が急騰

・若手中堅の中国人IT技術者から「それじゃ、日本人技術者の月給よりも高いでしょ」みたいな賃金交渉。しかも手取り額での要求。


■成功の勘所

オフショアリング業界全体を揺るがしかねない懸案事項を4つ挙げた。今のところ、大規模な実態調査を行っていないため、正確な状況を把握できていない。あなたの周りではいかが?

 ご意見望む → mailmag@ai-coach.com


2007年09月27日 17:15 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

正直ベースの見積もりをもらうための情報開示 2007/9/6
見積もりが高いとすぐに他社に持っていかれる
日本企業の見積もりは理想論に走りすぎ。コスト削減が最優先です。でも中国ベンダはパートナーと良い関係を守ること一番大切です。

(中国人読者)

中国ベンダが抱える日本への不満。

・日本企業は中国にコスト削減ばかり要求してくる
・見積もりが高いとすぐに他社に仕事を奪われる
・日本企業は中国を信頼しないので、大きな仕事を発注しない
・仕様変更で予算超過しても「次回調整」で済まされる


日本への不満の大半は、仕様や開発プロセスの曖昧性について。次いで、発注方式や見積もりに関する内容が多い。読者アンケートのコメント欄には、日本人の常連さんから、次のようなご意見が届
いている。

・正確な見積に必要な情報であれば、須らく開示しています。開示した上で「正直ベース」では無い部分についてリスクマージンや生産性を相談し、「実行可能」な体制・工数の見積提示を頂く事が、開発委託完了するための最も安全なアプローチと考えていま
す。

・(「全ての情報を開示すべきである」と回答)こっちが信用しないと、向こうも信用しないのかなと思いますので・・・。


■成功の勘所

その他の読者の声より。

・各フェーズの定義、設計基準、レビュー範囲、テスト粒度、進捗管理、納品/検収基準などの共通基準を整備した上で、コスト/品質ランク比数、工数計算係数、品質下限の意識を共有する。そうすれば、話と判断の基準が明確になるので、余分の情報が要
りません。

↑見積もりに関するトラブルを未然に防ぐために、オフショアベンダに開示すべき情報をリストアップしてくれました。ありがとうございます。(幸地)


2007年09月06日 09:27 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

見積もりが高いとすぐに他社に持っていかれる 2007/9/4
過度な情報開示は問題が多い
オフショアベンダへの情報開示は最小限にとどめたいと考える日本人は多い。過度な情報提供は事故を招きやすいというのが、その根拠だ。

一方、中国企業は、自社を日本と対等なビジネスパートナーと考えているので、日本が情報を隠しすぎると「下請け扱いを受けている」と不満が溜まる。

                       (本誌発行人)

●コメントボードに記載された中国人読者より。

・正確な見積もりは本当に難しい。少し高くても、別のベンダにこ
 の仕事を取れていかれる。もらった仕様書から計算して、何時も
 工数多すぎる、もっと減らしてと言われて、ぎりぎりばかり状態
 で開発スタートしました。後、仕様変更、修正だらけ。最後、テ
 スト時間無くなって、バグいっぱい。相変わらず、コスト増える。

(中国人読者)


オフショア開発プロジェクトでオンサイト窓口を経験した中国人マネージャーは、見積もり姿勢について次のようにコメントした。

・最初の見積から作業漏れがよく発生しましたが、発注側の立場を利用してむやみに押し付けるのではなく、「かかるものはかかる」という姿勢で追加見積をオフショア側にしてもらいました。

(東京/中国人読者)


■成功の勘所

【発注者向け】
後から、追加見積もりを認める場合と認めない場合の境目は何か。政治的もしくは営業的な理由か。それとも、純粋に責任の問題か。

【受注者向け】
オフショア開発案件を失注した本当の原因は何か。あなたの会社では、受注失敗した理由を分析して、次回の営業活動に反映させているか。


2007年09月04日 14:04 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

過度な情報開示は問題が多い 2007/9/3
無理なら「無理」と言って欲しい
中国に見積もりを依頼したとき、本当はリソース不足なのに、我々の要望通りに「出来る」と回答がありました。でも、現実には品質問題が続出しました。

(日本人)

「リソース不足なら他の会社に頼みたかった・・・」。見積もりを依頼した日本企業の担当者がこう嘆いても、時既に遅し。後の祭りである。

ベトナムで活躍する読者からも似たような指摘があった。まず、日本側で大日程を組んでWBSを作成する。その後、オフショアベンダに小日程の見積もりを依頼する。すると、やはりオフショアベンダが多少無理してでも日本側の大日程に合わせてきてしまうため、本当に必要な人数と時間がわからない。

中国企業は、自社を日本と対等なビジネスパートナーと考えているので、日本が情報を隠しすぎると「下請け扱いを受けている」と不満が溜まりやすい。


■成功の勘所

オフショアベンダへの情報開示は最小限にとどめたいと考える日本
人は多い。過度な情報提供は事故を招きやすいというのが、その根
拠だ。

高度な状況判断が必要となるが、極論すると、中国に自社の事情を
あまり伝えず、まずは正直ベースで見積もってもらいたいというの
が日本企業の偽らざる本音である。

あなたの考えは?

☆中国オフショアベンダから正確な見積もりを受けるためには、情報開示を控えた方がよい。そうしないと、正直ベースの見積もりが出てこないから。

◆情報開示を制限したほうがよい
◆全ての情報を開示すべきである
◆その他

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年09月11日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年09月03日 22:41 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

skypeとIMクライアントを禁止できない事情あり 2007/8/27
8/16から二日間続いたスカイプの大規模障害
業務への影響はありませんでしたか?

・影響あり (16票)43%
・影響なし(スカイプ利用OK) ( 6票)16%
・影響なし(スカイプ禁止なので)(11票)30%
・その他 (4票)11%

(読者アンケート途中結果より)

8/16から二日間続いたスカイプの大規模障害。日本ではお盆休暇と重なっていたので、気づかなかった人も多いだろう。また、輸出管理の問題からスカイプを禁止する企業も多い。だから、日本の大手・中堅企業では、スカイプ障害の被害は思いのほか小さかった。

スカイプだけではなく、ファイル交換機能を持つチャットツールも規制の対象となる。今さらかもしれないが、メッセンジャーを介して感染するウイルスが中小零細のオフショアベンダーの間で猛威を振るっている。

そこで、サーバー側で制御する独自のチャットツールを導入して、オフショア拠点を巻き込みセキュリティ対策に臨む会社もある。ただし、使い勝手が悪いので、利用者の評判は芳しくない。


■成功の勘所

コミュニケーション基盤が貧弱な一部の中国企業では、IMクライアントなしでは仕事が成り立たない。

お客様のアドレスから悪意を持ったウイルスメッセージが届くと、就業経験の浅い中国人作業員は無防備にクリックしてしまう。一般にはITリテラシ教育で対策できるが、人材流動の激しい中国では抜本的な対策はむずかしい。だから、最初から危ない道具は使わせない。

・Skypeにはファイル交換機能があるため、会社のPCにはインストー
ル禁止となっています。(1999さん)

・日本の会社が固いなので、Skypeの使用が許されていません。(sienさん)


【1回だけクリックをご協力お願いします】

※アンケート結果は公共性の高い各種メディアで発表します。日経や@IT連載記事などの参考資料として引用する予定。オフショアリング業界全体の発展に役立てたいので、ご協力ください。

8/16から二日間続いたスカイプの大規模障害。業務への影響はありませんでしたか?

普段、スカイプ利用するけど、たまたま被害なしの場合は2番目をクリック。お盆休みだったので影響皆無という方、あるいは、自分はよく分からないけど一部では影響あったかもしれないという方も「その他」をクリックしてください。

◆影響あり
◆影響なし(スカイプ利用OK)
◆影響なし(スカイプ禁止なので)
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2007年08月29日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年08月27日 10:53 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

間接オフショア開発のメリットは大きい=71% 2007/8/22
間接オフショア開発は効果的ですか?
間接とは、国内パートナー企業を経由してオフショア発注すること。オフショア専業会社や中国ベンダの日本法人を経由するのは直接オフショア開発と定義します

・間接オフショア開発のメリットは大きい(42票)71%
・間接オフショア開発のメリットは小さい(16票)27%
・その他(1票) 2%

(読者アンケート最終結果より)

日本のお盆休み期間中に、さりげなく「間接オフショア」に関するアンケートを実施した。アンケート結果を簡単に振り返る。詳細は、いつものようにプレミアム版マガジンで報告するつもりである。

ちなみに、沖縄では旧盆が一般的。今年は今週末がお盆休みである。

ことの発端はこの相談内容から。

手始めに国内のパートナー会社を経由する間接オフショア開発を始めましたが、ほとんどコストメリットはありません。しかも、状況が改善される気配すらありません。

[参照] 第701号 間接オフショア開発は効果的ですか? 2007/8/15


コメントボードに寄せられた読者の声をご覧あれ。

・パートナー企業⇒中国開発会社の間で距離がある上に、発注元⇒パートナー企業を経由する事で孫受け状態になります。それぞれがオンサイト開発でないと想定すれば、直接開発でも情報伝達が重要なオフショアのリスクがさらに高まるのにコストメリットは下がるという状態になると思います。


・ベンダー選定基準やノーハウがないため、間接オフショアという楽な方法を選んだと思います。こういう場合は「オフショアコーディネータ」の助言を求めたりして、安心して取引できるオフショアベンダーを見つけ、直接発注すればローリスク・ハイリターンが実現可能です。


・2次請け、3次請け会社にはオフショア開発にしてメリットが出るような規模や作業内容の仕事が回ってきているのでしょうか?

↑Good question! あると思います。(幸地)


・従来取引している2次請け、3次請け会社に新たにオフショア開発に挑戦するよう依頼する場合と、2次請け、3次請けにそれまで取引のなかった専業会社をつかう場合とでは意味合いが違ってきますが、今回のアンケートは前者の状況を意図されているのですか?また、後者のような例は増えてきているのでしょうか?

↑Good question! 前者の状況を意図しました。オフショア企業の新規参入は難しいので、後者のような例は増加していないかもしれません。正確なデータがないので、断言できませんが。あくまでも私見ですが、大規模でしか利益を出せないオフショアベンダの存在価値はやがて低下すると思います。(幸地)


■成功の勘所

間接オフショア開発の利点といえば、発注側の手間が増えないこと。つまり、従来の国内パートナーと付き合う感覚で、手軽にオフショア開発を利用できること。失敗のリスクを避けつつ、時間をかけて徐々にオフショア発注のノウハウを蓄積する効果が期待できる。とはいえ、これは机上の空論となる可能性も大。なぜなら、本気でやらないと、貴重なノウハウが蓄積されるはずがないから。


2007年08月22日 23:14 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

なぜベトナムは親日国なのか 2007/8/21
ベトナムソフトウェア産業の狙い
オフショア開発の実績作りのために、まずオンサイト派遣で業務を理解。このあと中規模アプリケーション、組込系ソフトウェア開発を目指す。

(オフショア開発勉強会8月大阪場所 ゲスト講師)

20日午前、オフショア開発勉強会8月大阪場所がこじんまりと開催された。

今月のゲスト講師は、ベトナム科学技術アカデミーの吉田研究員。オフショア開発という用語がない時代から台湾メーカーと喧々諤々の交渉を重ねてきたバリバリのビジネスパーソンである。

ベトナム科学技術アカデミー IT研究所

ベトナムの最新動向をより深く理解するために、戦争と外国支配の歴史から社会主義国家としての政策の流れまで、詳細なデータを示しながら親しみやすい関西弁でプレゼンしてくれた。

1.ベトナムの概要
2.ドイモイ(維新)政策
3.ベトナムの地域格差
4.ベトナムのソフトウェア産業の動向
5.産学官共同研究とオフショア開発の今後

専門家じゃないとなかなか理解できない話題も多かったが、独自の切り口でばっさり斬ってくれた。

Q. なぜベトナムは親日国なのか? → 日本は○○○だから
Q. ドイモイ政策が功を奏した理由は? → ○○○○○○○だから
Q. ホーチミンよりも北部のハノイが注目される訳は?
Q. ベトナムITと中国ITの最大の違いは?


■成功の勘所

Q. なぜベトナムは親日国なのか?

A. 複数の理由がある
・日本は最大の援助国だから
・ベトナム人は過去の争いを水に流せるから(未来志向)


2007年08月21日 05:19 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

間接オフショア開発は効果的ですか? 2007/8/15
間接オフショア発注について、あなたのご意見は?
手始めに国内のパートナー会社を経由する間接オフショア開発を始めましたが、ほとんどコストメリットはありません。しかも、状況が改善される気配すらありません。

(日本人読者)

間接オフショア開発とは、従来型の国内パートナー企業を経由してオフショア発注すること。国内のオフショア専業会社や中国ベンダの日本法人を経由することは、直接オフショア開発と定義する。

元請けがオフショア先を指定して、国内2次請けパートナーに仕事を発注する。これは、典型的な間接発注。

「うちは中国を活用するけど、お客様には一切オフショアを意識させません」と営業活動するsubcontractor。これは、間接発注か?

顧客企業(情報システム部門)の立場で考えると、日本市場のほとんどは間接発注である。つまり、必ずしも「間接オフショア発注」イコール「悪」ではない。

沖縄県では、IT津梁パーク構想が着々と進行する。これは、国内オフショア受託を狙った活動だが、沖縄から中国やアジア諸国への再委託も視野に入っている。

従来型の原価低減を追及するビジネスモデルでは、沖縄の戦略を正当化できない。だが、価格以外の利点を訴求できれば話は異なる。


■成功の勘所

直接発注と間接発注の利点と欠点の境目はどこにあるか。2次請け、3次請け会社がオフショア開発で価値を生み出す条件とは何か?

◆間接オフショア開発のメリットは大きい
◆間接オフショア開発のメリットは小さい
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


2007年08月15日 10:44 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

赤字では中国子会社を使わない(51%) 2007/5/7
子会社より外部の協力会社がもっと安いとしたら

 ・赤字覚悟で提供する (30票) 37%
 ・赤字では提供しない (41票) 51%
 ・その他 (10票) 12%

○結果を見る

(本誌アンケート最終結果)

●前号のおさらい。

あなたは、ある事業部のオフショア開発推進担当者だとする。外部
の協力会社が、中国子会社よりも安い提案を出してきた。あなたは、
「赤字覚悟」で中国子会社のリソースを提供するか。特に、他事業
部から協力要請があったときの対応を考えなさい。

本誌第639号より


何はともあれ、コメントボードに投稿された読者の声をみてみよう。


1 その他を選びました。
 1 まずお金をグループ外に流さなくてすむから
 2 外部より高サービスなら、値段交渉の余地がある
 3 子会社を成長させるよい機会にも捉える


2 親会社の経営に大きな影響が無いのであれば、中国子会社に発注します。・・・


3 オフショア推進担当者としては・・・赤字であってもGOである。ただし、この利点の効果を客観的に金額換算することが難しいので事業部長への説得が難しい。


4 赤字では提供しないと回答しました。一番の理由は赤字経営だと、中国人従業員に満足な給料が払えなくなり、せっかく確保した人材が流出してしまうからです。


5 より低賃金な会社を利用するのは仕方が無いと思います。


■成功の勘所

大型連休中にも関わらず、81件のクリック協力と7件のコメントが投稿された。とてもありがたいのだが、結果をみておやっと思った。

巷では、プロジェクト単体の収支を度外視した中国発注が溢れかえっているため、赤字覚悟でも自社の中国リソースを活用するとの回答が過半数を超えると予想していた。

私の事前予想は外れた。

今回のアンケートは「実態調査」ではない。あくまでも、読者一人ひとりの個人的な主張に過ぎない。したがって、本結果を意思決定の参考材料としようとする人は、「実態」と「現場の声」にギャップがある可能性を念頭において欲しい。


P.S.
「子会社より外部の協力会社がもっと安いとしたら」の模範解答は、今週のプレミアム版メルマガで紹介します。

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2007年05月07日 13:54 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

子会社より外部の協力会社がもっと安いとしたら 2007/4/26

■ 問いかけ

あなたが所属する事業部Aでは、中国子会社を使ったオフショア開発の実績があります。苦労しましたが、現在はそれなりに成功するようになりました。同じ会社には、まだオフショア開発に取り組んでいない事業部Bがあります。ある日、事業部Bから依頼がありました。

「顧客からコスト削減の強い要請があり、うちでもオフショア開発を検討している。単純に費用だけで判断すると、外部の協力会社に委託する方が安いが、ぜひ社内リソースを活用したい。ぜひ事業部Aからサポートしてほしい」

事業部Aのあなたは、事業部Bにオフショア開発を展開するよい機会だと思い承諾しかけました。ところが、話の続きがあります。

「ただし、予算の都合上、事業部Aに十分な費用を払えない」

つまり、オフショア開発が得意な外部の協力会社を使えば、安く済みます。ですが、社内リソースを使いたい。ところが、事業部Aに依頼する方が外部業者よりも高くつきます。

あなたが、事業部Aのオフショア開発推進の担当者なら、どのような判断を下しますか。

◆赤字覚悟で提供する
◆赤字では提供しない
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2007年05月04日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年04月26日 16:29 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

品質保証室は不人気 2007/4/19
オフショア開発プロジェクトを監査していますか
オフショア開発推進室やPMO(Project Management Office)といった別部隊によるプロジェクト監査を実施していますか。

(オフショア大學)

多くの会社では、プロジェクト実行部隊から独立した監査機構を持っていて、計画的にプロジェクト監査を実施している。CMMに積極的な中国ベンダの多くも、SQA(Software Quality Assurance)を設置して品質管理の仕組みを導入している。

ところが、監査の形骸化を指摘する声は少なくない。また、中国では品質保証室が不人気だという指摘もある。理由を聞いてみたら、

・キャリアとして確立されていない
・仕事ができない人が配属されるイメージが背景にある

ということだ。


■成功の勘所

技術志向の強い中国人IT技術者にとって、スタッフ部門への異動は左遷に等しいのかもしれない。実際、品質保証室がやることといえば、日本語で品質報告書をひたすら書き続けるだけ。これでは、技術者のモチベーションが上がらないのも当然である。


2007年04月19日 11:30 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

とことん愚痴ってみる 2007/4/17
オフショア開発は時間がかかる
オフショア開発においては、進捗状況や品質状況等の状況を正確把握する為の時間が非常に多いと思います。

(オフショア大學/日本人)

昔から、日本人は自分や家族を犠牲にしてまで会社に尽くしてきた。そして、実際に卓越した結果を出してきた。まさにNHKプロジェクトXの世界であった。

ところが、あなたが初めて接する外国人技術者ときたら、プライドが高く、自分を犠牲にしてでもプロジェクトに貢献しようとする姿勢がまるで感じられない。

・昔はよかった
・自分らが若いころは二徹・三徹も当たり前だった
・毎朝、部下がきちんと出社しているかの確認からはじまる
・中国人が会社所有のソフトを勝手にコピーしてたので注意した
・出社したら開発室がラーメンとニンニクの匂いで充満

オフショア開発の現場では、毎日こんな愚痴がこぼれてくる。時代は変わった。何が原因かわからないけど、日本のソフト技術者を取り巻く環境は激変した。

オフショア開発では、もはや感動的なプロジェクトXはありえない。最初はいやいやだったけど、リーダーの人柄にほだされて最後は一致団結してプロジェクトを成功に導いた、なんて話はオフショア開発では難しい。


■成功の勘所

オフショア開発でプロジェクトXが難しい理由はいくつもある。まず仲間の顔が見えないこと、コミュニケーション手段が文字中心になること、プロセスや規約・基準によるガチガチの管理手法がとられること。しかも形骸化しやすくリーダーシップも発揮されない。遠隔地で進められるオフショア開発では「呑みニケーション」すらできない。性悪説で管理するため、確認に時間もかかる。

あなたの周りからこんな愚痴が聞こえてきたら、いったいどうすればよいだろうか。


2007年04月17日 11:17 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

「私は英語が話せます」のレベルとは 2007/4/10
私は英語が話せます

日本人:何年も留学・駐在して、native同様に英語を話すレベル
中国人:辞書を使って仕様書を読めるレベル。
    採用面接では、挨拶程度の実力あれば英語ができると主張。

新年度に入り、新しい読者が一気に増えた。そこで、経験者には耳タコかもしれないが、久しぶりに初歩的なネタを紹介する。社内で初心者を指導する際に使っていただきたい。

日本と中国では、大丈夫/出来ました/理解したの意味が微妙に異なる。

「大丈夫です」

日本人:全体が100%完璧であるときに使う表現
中国人:全体の一部が大丈夫であれば、使ってよい表現


「(プログラムが)出来ました」

日本人:あらゆる条件に合格する成果物が完成した
中国人:自分で定めた基準に合格することのみを保証
    (合格基準は、通常日本側のそれよりも甘い)


「(仕様を)理解しました」

日本人:100%OK。これでオフショア開発に着手できる
中国人:説明されたことは理解した。抜け漏れがあれば、また説明してください


■成功の勘所

日本と中国では、大丈夫/出来ました/理解したの意味が微妙に異なる。

ただし、不用意に「中国人とは・・・」を語ると、過度の一般化を招き、聞き手に不快感を与える恐れがある。「全ての中国人がそうとは限りません!」と反論されることもあるので、説明するときには相手への配慮を忘れずに。

ここでクイズ。

あなたは、中国人にレポート作成を依頼しました。すると、相手は「ハイ、了解しました」と快く返答。その直後に「レポートのサンプルをください」といわれました。中国人がサンプルを欲しがる理由を全て挙げなさい。


2007年04月10日 11:03 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

「了解です ⇒サンプルをください」のリスク分析 2007/4/5
クイズ「了解です⇒サンプルをください」のリスクを分析せよ
あるオフショア開発プロジェクトの納品直後の出来事。発注側のあなたは中国企業に対して「バグ原因を詳細に分析して、問題発生の傾向と対策を報告しなさい」と指示したところ、中国から「了解しました」と快く返事が返ってきた。

ところが1週間経っても音沙汰なし。そこで、あなたはもう一度催促した。今度は「報告書のサンプルをください」と中国から回答があった。

あなたは、この会話から危ない兆候を感じ取れたか。この会話に潜むリスクを全て洗い出しなさい。なお、品質評価レポートの作成は、最初からプロジェクト計画に含まれていると仮定する。

(オフショア大學/事例研究課題 より)

今日も、オフショア大學の講義から話題を提供する。

あるオフショア開発のプログラム納品直後に品質評価報告書を提出するよう指示したところ、「了解です ⇒ サンプルをください」と回答があった。

あなたは、上記の課題文からいくつリスクを抽出できただろうか?

・納品済んだので、既にメンバー解散しちゃったリスク
・バグを潰して時間が経ったので、もはや問題分析できないリスク
・報告書作成のモチベーションが低下しちゃったリスク

少し考えただけでも、これだけのリスクが思い浮かぶ。他にもいろいろあるだろう。報告書作成(reporting)には高度なスキルと経験が要求されるが、経験の浅い中国人リーダーはその訓練を受けていない可能性がある。

問題解決(problem soluving)に必要な能力が備わっていない開発リーダに報告書作成を依頼しても、最初の取っ掛かりすらつかめないだろう。

・事実ベースで状況を分析する力
・論理思考で課題を発見する力
・理想論ではなく現実的な解決策を打ち出す力
・相手に伝える提案力&プレゼンテーション能力


■成功の勘所

オフショア開発プロジェクトの評価報告をまとめるとき、言語や文化・商慣習の壁が立ちふさがると「ダメだこりゃ。もういいや」となって、PCDAサイクルを正しくまわす気力が失われる。オフショア推進の動機付けを失ったら、この組織はもうおしまいである。


2007年04月05日 18:51 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

質問は共有のディスカッション用DBに中国語で書き込む 2007/3/28
DBに開発者に中国語で質問を書いてもらっています
ディスカッション用のDBに開発者に中国語で質問を書いてもらっています。翻訳は後からしてもらいますが書いてもらった時点で不明な点は大体わかります。他の開発者の質問も見られるので、同じ質問は来にくいです。

(アンケート回答者/コメントボードより)

オフショア開発のQ&A窓口(質問取りまとめ担当)をどこに置くべきか。まだ回答者数は少ないが、読者アンケートの中間結果は面白い。

中間結果を見る

アンケート回答者の1人から、日本と中国の間に共有DB(掲示板?)を設置する事例が紹介された。ポイントは、中国人プログラマーに「中国語」でドシドシ情報を上げてもらうこと。この手の情報提供は大歓迎である。


■成功の勘所

日本と中国の間に設置されたディスカッション用DBについて、気になること。

・ディスカッション用DB上で懸案事項管理などは実現可能か
・Q&A台帳のようなものを別途管理しているのか
・質問するには、必ずDBに書き込まないといけないのか
・DB書き込みへのインセンティブの有無


2007年03月28日 13:14 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

質問取りまとめ担当はトップが兼任すべき 2007/3/27
中国に質問取りまとめ担当者を置くなんて、危険ですよ!
メルマガで指摘した点に注意していれば大きな問題にならないと思いますが、非常に危うい要素をはらんでいます。

(北京/日本人駐在員)


参照→ http://www.ai-coach.com/backno/cip0618.html

仕様確認などのQ&Aの爆発を防ぐために、中国側に質問取りまとめ担当をおく会社が多い。と昨日号に書いた。中国側でキチンと質問を取りまとめると日本側はとっても助かる。

ただし、以下の懸案事項があることもあわせて指摘した。

・中国側の待機時間が増加する
・窓口担当者への依存度合いが増す、
・日本が気づかない間に暴走してしまう

Q&Aの窓口機能をどこに置くべきか。原則としては質問する側に置くべきだろう。だが、過去にたくさんの失敗事例を見てきた日本人駐在員は、その危険性を説く。

「窓口」が当該プロジェクトの営業側トップとか、責任者(あるいは小さな会社であれば社長)の場合、会社のラインと、情報伝達が一元化出来ているので問題ない。問題は、相手企業で、日本語能力がありコミュニケーションの出来る人間がどの地位に居るかである。

(北京/日本人駐在員)


■成功の勘所

私の常識では、Q&A窓口は日本語が堪能な開発リーダーが務めるべきである。しかし、その常識が通用しない事態も予め想定しないといけない。特に、日本語人材が不足する中国内陸部やベトナムが相手のプロジェクトでは要注意である。

【読者アンケート】

☆オフショア開発のQ&A窓口(質問取りまとめ担当)をどこに置くべきですか。

◆中国側に置くべき
◆日本側に置くべき
◆窓口担当者は要らない
◆その他

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年04月03日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年03月27日 15:12 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

質問取りまとめ担当者を置く 2007/3/26
Q&A爆発を防ぐには?
中国側に質問取りまとめ担当者を置く。そして、日本からも積極的に設計書レビューに参加する。ですが、各種レビューに費やす工数は品質とのトレードオフだと思います。

(オフショア大學講義より)

Q&A爆発を防ぐためには、中国側に質問取りまとめ担当を置いた方が良いのか。それとも、日本側の窓口を一本化して、中国からは誰でも自由に質問が投げられる体制が望ましいか。

どちらかと言えば、中国側に質問取りまとめ担当をおく会社の方が多いようだ。ただし、中国プログラマーの待機時間が長くなって生産性が落ちないか、質問取りまとめ担当者がボトルネックになって、全体進捗が滞らないかの心配が残る。

中国側の窓口担当者が仕様をキチンを把握していないと、間違った理解に基づいて勝手に質問を整理する。最悪の場合は、日本語通訳が自分勝手な解釈で質問に回答してしまうこともある。こうなると、かえって混乱を招きかねない。

質問の取りまとめ役は、なかなかレベルの高い仕事だと思う。


■成功の勘所

オフショア開発で性急な結果を求める人は、「中国にゼロから基礎を教えるくらいなら、従来通り国内パートナーを使った方がましだ」と不満をぶちまける。

短期的には、どの会社でも品質・コスト・納期のトレードオフに頭を悩ませている。長期的には、品質強化がコスト削減にもつながると頭で分かっていても、短期的なトレードオフは常に問題となる。


2007年03月26日 17:22 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

失敗して腹を切る前に説明責任を果たせ 2007/3/19
オフショア開発リーダーが果たすべき責任とは何か?
「バグが見つかったら、責任をもって最後まで直す」 「ほうれんそうが出来ていない」 「仕様変更のプロセスが曖昧だったので追加費用の交渉が難航した」

それぞれの場面における「責任」の違いを考慮して、オフショア開発リーダーが果たすべき責任について議論しなさい。

(オフショア大學講師/幸地司)

ある日本人は、信頼する中国ベンダーの窓口担当者と口約束を交わした。ところが、その担当者が交代した途端、後継者は書類がないため約束したことにはならないと宣言してきた。

いつまで経ってもオフショア開発で結果が出せない会社や組織では、圧倒的に説明責任(Accountability)が足りないと感じている。具体的には、ステークホルダーの洗い出しが甘く、間接的な関係者への配慮が不十分である。

さらに、仕様にせよプロセスにせよ生データにせよ、必要最低限の情報しかオフショアベンダーに与えないのもトラブルを誘発する原因の1つとなる。


■成功の勘所

オフショア開発における「責任」とは、一体どういう意味か。この問いを理解するには「責任」を英語に翻訳するとよい。

Responsibility
Accountability

日本企業には「失敗したら腹を切る」と言わんばかりの責任感は充満しているが、説明責任(Accountability)を果たす雰囲気は弱い。


2007年03月19日 21:19 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

正式契約前の仕様レビューの工数を誰が負担すべきか 2007/3/15
仕様書の粒度を細かくするなど改善を重ねています
前回の反省を活かして、中国側は見積もり前に仕様書を細かく読み込んでいろいろと質問してくるようになりました。

(オフショア大學の議論より)

オフショア開発を成功に導くには、日本とオフショアベンダーが一体となって、継続的な改善を積み重ねるしかない。中国が作業に着手する前に仕様書の不備を指摘する、日本は指摘を受けて仕様書の精度を高める。なんて美しい、理想的な光景だろうか。

ところが、ここで1つの疑問が湧いてきた。オフショアベンダーが正式に受注する前に仕様書を細かく読み込む工数を「誰」が負担すべきか。理想と現実のギャップが大きい、賛否両論を呼びそうな課題である。

【関係者の声】

・うちでは中国サイドの工数でした

・発注側です。オフショア開発を行う場合、単なる仕様説明を行って、開発を始まると、後々質問や確認など絶えずに出てきて、結局オーバヘッドが発生しやすいでしょう。

・見積前に1~2時間仕様書に目を通すのは、こちらの負担だと思います(オフショアベンダ側)


■成功の勘所

日本の要求仕様書は粒度が粗いことに加えて仕様も未確定。そのため、中国側は見積もり前に仕様書を細かく読み込んでいろいろと質問する作業が必須である。

このようなオフショア開発を正式に契約する前に発生する仕様把握の工数を誰が負担しているのだろうか。実態を把握したいので、理想論「~すべき論」ではなく、あなたの組織の現状で答えなさい。

◆発注側
◆受注側
◆双方で折半
◆その他

○結果を見る
○コメントボード


締切:2007年03月23日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年03月15日 15:08 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

自然災害は国内もオフショアも関係ない 2007/3/6
大雪で一時オフショア開発にも影響でました
大連は大雪で生産拠点の窓が割れたり、停電したり、通信中断したりするケースが少なくない。おっしゃったとおり、オフショアへの影響がみられます。

(大連より)

大連から大雪の状況を撮影した写真が届いたので、さっそくブログに掲載した。

・大連の大雪 [写真付き]


今のところ、特に大きな被害報告を受けていない。ほっと一安心。今回、複数の読者から「自然災害は国内もオフショアも関係なく発生するよ」との指摘を受けた。「だから、どうした?」と思ったが、もしかしたらアンケート文言が誤解を与えていたかもしれない。

: 【読者アンケート】
: 大連・瀋陽、その他すべてのオフショア関係者への質問。
: 大雪など自然災害で業務が滞ってしまうリスクへの対策は?

昨日のアンケートは、主に発注側の日本企業に投げかけた問いかけである。オフショア企業側のリスク管理を問うものではない。(クリック数も少なかったので、もしや?と思いました)


■成功の勘所

私は沖縄出身なので、台風・水不足・ハブ被害への意識は高いが、業務上のリスクとして認識することはほとんどなかった。ITでは、目に見えない資産(intangible assets)を扱っているので、自然災害への関心が低くなりがちである。

私が推奨するオフショア開発ガイドラインでは、「オフショア発注地域で発生しうる自然災害のリスクを考慮せよ」と書けばよい。
(簡潔なほどいいから)

だが、実際のプロジェクト計画では、個別の事情を考慮した具体的なリスク・マネジメント項目を洗い出す必要がある。例えば、大連には、濃霧による視界不良で航空機が離着陸できない固有のリスクがある。タイではクーデター(人災)が発生したし、ベトナムでは鳥
インフルエンザの再発が認められる。

こうしたリスク・マネジメントは、個々のプロジェクトに丸投げせず、オフショアPMOが全面的に支援すべきだろう。

      ※


☆大連・瀋陽、その他すべてのオフショア関係者への質問。大雪な
 ど自然災害で業務が滞ってしまうリスクへの対策は?

 ★この問いは、主に発注側の日本企業に投げかけています。★


◆事前のリスク・マネジメント計画で検討済み
◆特に準備はしていないが特に問題なし
◆その都度、場当たり的に対応します
◆その他

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年03月13日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年03月06日 15:19 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

大連は大雪で混乱気味、日本側はブーイング? 2007/3/5
今日(3/4)の大連はものすごい吹雪です。
明日(3/5)は出社できない人も多いでしょうね。どこのエリアでも天災はつきものですが、オンサイトは文句いうんだろうなぁと。。 想像がつきますね。

(大連/日本人出張者)


大連大雪20070305_0002


昨夜(3/4)、大連から届いたおたよりによると、大連は大雪らしい。そのせいでオフショア側の作業が滞ると、日本側からブーイングがあがる可能性があるという。本社も大雪くらい多めにみて欲しいものだ(笑)。

大連大雪20070305_0004

今年は世界的な暖冬が続いており、上海からも気温20度を超えたとの情報が続々と届いている。出張者は、厚手のコートに加えて、暑さ対策をお忘れなく。

ちなみに、今朝の横浜の最低気温は15度を超えた。驚きである。


■成功の勘所

昨夜から、大連は猛吹雪。関係者の皆様は十分に気をつけていただきたい。今朝の状況はどうだったか、大連関係者からの情報提供を求む。



大連大雪20070305_0003


☆大連・瀋陽、その他すべてのオフショア関係者への質問。大雪な
 ど自然災害で業務が滞ってしまうリスクへの対策は?

◆事前のリスク・マネジメント計画で検討済み
◆特に準備はしていないが特に問題なし
◆その都度、場当たり的に対応します
◆その他

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年03月13日23時00分
協力:クリックアンケート

ようやく落ち着いたようです。
大連_0001



2007年03月05日 17:02 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

契約書は無効って、それは、あんたが作ったんでしょうが! 2007/2/28
中国当局が作った契約書にミスが見つかった
中国当局の許可を得て、日系企業向けに○○○サービスを開始しました。許認可手続きや契約については、全て当局の指示に従いました。ところが、後になって、当局から提供された契約書類にミスがあることが分かり、いまだに正式な事業許可が得られません。サービス提供から半年以上も違法操業が続いている状態です。

(中国/日本人駐在員)

中国関連のビジネス書に失敗事例として紹介されるような嘘のような本当の話。オフショアベンダーが事業多角化の第一歩として、中国市場でのサービス事業を始めた途端、とんだ災難に見舞われた。中国では「見切り発車に気をつけよう」といえばそれまでだが、この事例ではあまりにもかわいそう。担当者は悲鳴を上げている。

とにかく、中国当局が作成した契約書が間違っているので、領収書を発行できない。(ここでの領収書は、日本の請求書に相当する)かといって、当局は「忙しい」の一点張りで、契約書を修正する意向はまるでなし。
顧客の日系企業は、半年間のサービスに満足しているので契約通り代金を支払いたい。相談者も代金を受け取りたい。だが、領収書がないと支払いは許されない。このままだと、相談者の会社は、無許可で事業を続けていると中国当局から摘発される恐れもある。


■成功の勘所

たとえ日本のSIerで経験を重ねた優秀な日本人マネージャーでも、初めての中国事業で成果を出すとは限らない。製造業や貿易商社と比べて、ソフト業界は海外事業を甘く見すぎる傾向がある。

あたって砕けろといわんばかり無防備に中国に行って、簡単に玉砕する。経験値が蓄積される前に担当者は疲弊して退職する。学習しない組織の典型例である。


2007年02月28日 14:33 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

人民元高への対策、短期と長期とでは異なる 2007/2/27
円安で中国ベンダーの利益圧迫(ご意見求む!)
工期内のレート変動であれば、平均レートで精算。長期のレート変動であれば、単価見直し。

(アンケート回答者)

さっそく、筆者のもとに届いたご意見を紹介する。


・個人的な考えですが、
 1.原価の低減
 2.高付加価値化
が必要ではないかと思っております。


・コストの視点だけで考えるだけでなく、リソースの視点や文字どおりアジアでの商売の視点で考えることであると最近考えるようになっています。


・工期内のレート変動であれば、平均レートで精算。長期のレート変動であれば、単価見直し。


・中国の銀行に一定の手数料を払えば、ある期間で決められたレートで日本円⇔RMB換金できます。なので大型プロジェクトの場合(長期間、契約金額大きい)はこの方法を使っています。

・・・

相談者からもお礼のメールが届いた。

皆様の意見をみると、やはり難しい問題ですね。輸出・輸入の貿易だと色々為替リスク回避の手段が講じられるが、現段階のオフショアはやはりまだ対応策がありませんね。

個人的な思いですが、オフショアビジネスについて、場所に関係なく、円以外の通貨をもつ国では、問題になる時間差こそあるが、為替リスクが軽視できなくなります。(特に現在の円安状況で)また様々な方の意見を聞ければ大変うれしく思います。

(日本企業に勤務する中国人読者)


オフショア開発フォーラムの掲示板(フォーラム)参照
こちら→ http://www.1offshoring.com/


■成功の勘所

短期と長期とでは、円安人民元高&人件費高騰の「双子の圧迫」への対策は異なる。短期的には、外貨先物などで為替リスクをヘッジできるが、長期的には小手先の対策は無意味である。

日本はかつて、1ドル360円から1ドル80円台まで一気に円高が進行した。もし中国人民元が今の2倍に上がったとしたら、あなたはそれでも中国オフショアリング事業を続けるだろうか。


2007年02月27日 23:19 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

円安で利益圧迫(ご意見求む!) 2007/2/26
他の読者の皆様と情報共有したい
先日、中国でオフシュアをしている先輩を会いまして、色々話を聞かされました。中に一番印象に残っているのは円安の話題です。それを皆様と共有できればと思ってメールしました。

(日本企業に勤務する中国人読者)

発注側の日本企業に勤める読者から届いた相談を紹介する。このメルマガを読む全てのマネージャー、営業担当者、経営幹部に考えていただきたいテーマである。

先輩の会社はオフシュアに200人以上の専門部隊がありまして、順調に事業を拡大してきました。しかし、最近は円安に悩まされています。

今年は人件費が前の年より15%上がったが、20%ほどの円安を加えると、35%の利益がダウンしました。もともとかなり安い単価で仕事を取っていたので、そのままで4割近くの利益ダウンを吸収するのは不可能です。

また、円安を理由に単価を上げることも難しい。このままではビジネス自体が成り立たなくなると考えております。

幸地様とマガジンを読んでいる読者の皆様は円安問題をどう見て、どんな対処方法を考えているかを聞ければ、先輩には参考になると考えてます。

(日本企業に勤務する中国人読者)


■成功の勘所

相談者は、中国オフショアベンダーへの助言を求めている。第三者としての、あなたのご意見をお聞かせ願いたい。

次に、もしあなたが相談者の先輩の立場だったら、すなわち、中国でオフショア開発要員200名を抱える責任者だったら、どうするか。可能なら、こちらの考えも教えてください。


☆中国オフショア開発ベンダーは円安人民元高に悩んでいます。
 利益は昨年比40%減。有効な打開策を教えてください。

◆有効な打開策はない (地道にやるしかないってこと)
◆有効な打開策はある (金融・財務、その他の裏技や秘策あり)
◆その他(コメントボードにお書きください)

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年03月06日23時00分
協力:クリックアンケート


2007年02月26日 22:07 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

ベトナムは中国内陸シフトと同じ位置づけ 2007/2/13
最近ベトナムの話題が多すぎませんか?
タイトルが中国ビジネス入門である以上、もっと中国の情報や中国オフショア開発についての話をもっと語って欲しいですが。

(中国人読者)

先週は、たまたまインドとベトナムの話題が続いたのだが、日本企業で働く中国人読者から「もっと中国情報を語って欲しい」と要望を受けた。私信なので全文を掲載するわけには行かないが、分かり易く丁寧に書かれたメールであり、とても好印象を受けた。そのメールに対する返信がこれ。

件名「RE: 最近ベトナムの話題が多すぎませんか?」

私のメルマガに対する考え方と、ギャップが生じたのが、今回の違和感を覚えた原因だと思われます。

これまでメルマガの話題の中心は、中国オフショア開発でした。ですが、次第に関心の輪が広がっているのも事実です。

 オフショア開発 → BPOを含むオフショアリング全般
 中国 → ベトナム、フィリピン、インド

私がなぜベトナムIT情報を配信し続けているかというと、最大の理由は、日本のオフショア発注者が高い関心を示しているからです。現在は中国一辺倒であっても、ベトナムを完全に無視してよいと考えるオフショア推進責任者はまずいません。次に大きな理由は、中国オフショアベンダー側も同様にベトナムに関心を持っているから。中国沿岸部のオフショアベンダーは、もはやベトナムの台頭を無視しきれないというのが本音です。

実際、上海・北京・大連を避けて、中国内陸部にシフトする動きが目立っています。今すぐ、中国沿岸部のオフショアリング産業が衰退するなどとは誰も考えていません。ですが、顧客に中抜きされる可能性がある以上、自分たちが率先して内陸シフトを推進すべきだというのが最近の共通認識です。

そのため、中国沿岸部から中国内陸部へのシフトと同じ感覚で、ベトナムという選択肢も考慮にしておく。これが、危機管理に優れた中国人リーダーの偽らざる本音だと思います。そのために、本誌で必要な情報提供をしていきたいと考えます。
 ・・・

(本誌発行人/幸地司)

↑ご意見・ご要望は大歓迎です。(幸地)


■成功の勘所

本誌のスタンスは以下の通り。

 × ベトナムは中国の代替候補地
 ◎ ベトナムは上海・北京・大連を代替もしくは補間する候補地

これからも、中国内陸部の情報と同じ感覚でベトナムの話題を扱っていくつもりである。異論があるかもしれないので、念のため以下の通り読者アンケートを実施する。


☆オフショア開発マガジン「中国ビジネス入門」にあなたは何を
 期待しますか?

◆オフショア開発全般の話題
◆オフショアリング全般(BPO)の話題
◆中国に限定したオフショア開発の話題
◆中国に限定したオフショアリング全般(BPO)の話題
◆その他

○結果を見る
○コメントボード

締切:2007年02月21日23時00分
協力: クリックアンケート


2007年02月13日 13:59 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

アンケート「使用言語」

一人くらいは、英語力のあるSEを配置したい

すべての日本人SEが英語を流暢に操る必要はないが、プロジェクトに1人くらい英語が得意な者を用意できないだろうか。(本誌発行人 幸地司)

【アンケート】オフショア開発で使用する言語は何ですか?
●多くの日本企業にとって、オフショア委託先でも日本語が通じるかどうかは、とても大切な課題だ。

先日のアンケートでも、オフショア開発の新規パートナー開拓時、最も重視する判断基準は「日本語コミュニケーション」だと回答した数は全体第2位の14%。

これまでに本誌で掲載してきた主張はこうだ。

・どちらかにネイティブスピーカーがいる言語を使うべき・文書は日本語、会話では英語を補助的に用いるとよい

●コミュニケーションの方法については、読者からも多様な意見が寄せられてくる。

<タイ在住の日本人SE>
中国オフショアと決定的に違うのは、日本語が通じないと言うことです。日本語を話せるエンジニアはほぼ皆無です。
 
仕事では会話はタイ語、ドキュメントは英語です。
幸地さんの持論である、
  「どちらかにネイティブスピーカーがいる言語を使うべき」
に私も賛成です。

<中国オフショア開発を推進する日本人SE>
今後のオフショアのやりとりは日本語ではなく英語も視野に入れる必要があるような事が書かれていました。

でも、私自身、英語は駄目ですし、勿論、中国語もまだまだです。私は中国オフショアのメリットは中国人が日本語でコミュニケーションが取れることも重要な要素だと思っております。

インドが日本へのオフショアに失敗した典型が英語と日本語のやりとりが原因でもあったと聞きます。そういった意味で、本当に英語でのコミュニケーションでいいのか?と思っているのは私だけでしょうか。
              ※

●本誌読者の皆さまにお聞きしたい。あなたの会社のオフショア開発で使用する言語は何ですか。国によって異なるし、現場で工夫する点も山のようにあるだろう。ぜひコメント欄にお書きください。

ドキュメント、会話も含めすべて日本語
原則として日本語だが、ときどき英語も使う
ドキュメントは日本語、会話では英語をよく使う
ドキュメント、会話も含めすべて英語
その他(コメント欄に詳細をお書きください)
結果を見る
コメントボード

締切:2005年06月09日23時

■成功の勘所
あなたの会社がブリッジSEに期待する役割をいま一度定義しなおしてみよう。単なる通訳者のことを「ブリッジSE」と呼んでいないだろうか。
※さらに濃厚な情報へ→ オフショア開発メールマガジン
2005年06月01日 09:45 | 固定リンク | Comment(9) | TrackBack(1) |

組込が有利か?

ブリッジSEになる決心をしました

調査レポートを拝見させていただき、誠にありがとうございます。7つの事例はいずれも生々しく、そしてワンポイントアドバイスに十分中国の事情を考慮されていることを素晴らしく思います。大変勉強になりました。
大学生のときに日経コンピュータで掲載された中国オフショア開発関連記事を読む切っ掛けで将来ブリッジSEになる決意をしました。そして、卒業後は日本のシステムインテグレータに就職しました。(中国人/新米プログラマ)

■日本的な職業倫理をしっかりと理解し、その上で自己を差別化ポイントを持とう

どのような職業であれ、他人と如何にして差別化をするべきかは、プロとして当然の関心事だ。先述の新米プログラマは、中国人である特徴を生かして、ブリッジSEになる目標を掲げた。彼の頑張りを純粋に応援したい。

とは言うものの、ブリッジSEに求められるスキル要件が曖昧であるため、どのような道筋でキャリアアップを図ればよいのか分からない、という声をよく耳にする。⇒メルマガ第164号

かつての日本企業では、与えられた仕事を誠実にこなし、先輩の背中を見て学べば確実な成長が約束された。アメリカでは、1980年代に「学習する組織」の有効性がうたわれたが、日本ではほとんど流行らなかった。なぜなら、日本企業では既に「学習する組織」の精神が根付いていたからだ。

これからブリッジSEを目指す者は、一人よがりではなく、日本的な職業倫理をしっかりと理解し、その上で自己を差別化ポイントを持って欲しい。

ブリッジSE志望の新米プログラマは、自らのキャリアプランについて、次のように質問した。読者の皆様も一緒に考えていただきたい。来週、私の回答内容を紹介する。

              ※

◆1.プログラミングはどこまで習得すればよいか?

ブリッジSEになるには、マネジメントや社会の勉強が大事だとアドバイスを受けました。でも、現場の自分はプログラミングの問題で一番苦労しています。ブリッジSEになるにはどこまで技術が必要でしょうか?

◆2.どちらが有利か?「アプリケーション系/組込系」

個人の趣味から選べば、組込系ソフトウェア分野よりも、ビジネスアプリケーションの方が好きです。しかしビジネスアプリケーションは仕様変更が多く、オフショア開発が非常に難しいと聞きました。自社の業務ではパッケージを用いた開発が多く、顧客サイトでの常駐作業も多いです。ブリッジSEになるなら、やはり方向転換をせざる得ないでしょうか?

→若きブリッジSE志望プログラマを対する、あなたのアドバイスをお待ちしております。コメント欄にあなたの回答・ご意見をください。

今回の記事はいかがでしょうか?
少しでもお役に立てれば幸いです。
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2005年01月12日 06:39 | 固定リンク | Comment(3) | TrackBack(0) |

欧米流の人事制度も機能していない

10年選手はほとんど存在しない!

中国には12億人以上(外務省調べ、2002年現在)の人間がいるとは言っても、まともな企業で10年以上の勤務経験を積んだ人材はごくごく一握りしかいない。
特に日系企業の場合、「仕事は先輩の背中を見て学ぶもの」という感覚が強い。ところがこうした中国の外資で先駆者として働いてきた人々には「見るべき背中」がどこにもなかった。

言葉も文化も違う外国人駐在員に教わりながら、見よう見まねでなんとかやってきたのである。そう考えれば、中国にマネジメントができる人材が少ないのはごく当たり前の話だと分かるだろう。
日経ビジネス2004/12/21 田中信彦の「上海時報」

■新卒採用にチャレンジ!

マネージャがいないのであれば、自社で育てるしかない。今月、事実上の公的機関である上海日本商工クラブが、日系企業の採用活動の支援をはじめた。

先日、上海にある日系企業の現地責任者から聞いた話によると、1年半前に採用した中国人のうち、今残っているのはわずか3分の1に過ぎない。それでも、次は上海日本商工クラブを通じて、大学新卒者の採用をはじめるとのこと。

上海日本商工クラブが絡むことで、日本企業同士で無益な人材の奪い合いを避けることが出来る。しかしながら、欧米企業に対しては一切抑止力を持たないのが苦しい台所事情だ。

記事によると、欧米系の企業ですら、人材を自前で育成する方針に傾きつつあるようだ。実は、人材の流動を前提にした欧米流の人事制度も中国ではうまく機能していないところが多い。

孔子の直系子孫で、日中の文化・経済の発展に尽力してきた孔健氏は、日系企業に対して次のように助言する。

中国に進出を図る日本企業の主要な関心事は、ハイテク技術と転職対策である。転職対策については明確だ。待遇評価の基準をより明確にし、成果を上げた人間には厚く、ダメな人間には薄くしたメリハリのある給与システムをつくり、日本人幹部を少なくし、中国人幹部を積極的に登用すればよいのである。 参考図書:中国は即儲かる!-日本・中国共存繁栄論/孔健 (著)

これは、中国で成功する人材戦略の定説であったが、ここにきて、長期的視野で人材育成に取り組む日系企業のやり方が徐々に見直されつつある。

よく思い出してみると、中国人が経営する徹底した成果主義を敷くベンダを知っているが、そこは技術者が全く定着しない。しかも、中国人が退社する際は様々なトラブルを置き土産として残していく。

中国人の転職対策は、日本や欧米の企業だけではなく、中国ベンダ自身も頭を悩ませているのが現状だ。人材確保をめぐる戦いは、2005年も続きそうである。

こちらもご覧あれ→ 中国オフショア開発専門メルマガ

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2005年01月05日 21:28 | 固定リンク | Comment(3) | TrackBack(0) |

社員の中国語習熟度

■質問
自社で中国オフショア開発を推進しようと考えておりますが、社員の中国語の習熟度は、やはり重要なのでしょうか?(女性)

→コメント欄にあなたの回答・ご意見をください。

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2004年08月15日 01:14 | 固定リンク | Comment(6) | TrackBack(0) |

CMM取得は役立つか?

■質問
中国ベンダのCMM取得状況やレベル(1-5)は、発注側にとってどのような意味を持つのでしょうか?

→コメント欄にあなたの回答・ご意見をください。

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2004年08月05日 10:54 | 固定リンク | Comment(3) | TrackBack(0) |

日本の常識はどこまで通じる?

●日本と中国は当たり前のように文化や人の思考方法が違います

IT分野に限定しても、これは果たしてどうなんだろう?という疑問が次から次へと湧いてきます。特に怖いのは、私たちにとって「これは常識の範疇でしょう」について、中国側に疑問や不信感を抱いたときです。

「ドキュメントは日本語だろうか?」

「性能テストはどこまでやってくれるのだろうか?」

「中国企業はOracle製品を持っているだろうか?」

「オープンソースの無料ソフトを使って構築した方がトータルのコストは抑えられるのであろうか?」

このような疑問を感じたとき、あなたならどうしますか?

そんなことを考える暇があれば、次の設計や製造工程に進みますか?

考えるより先に行動しますか?

それとも、疑問をすべて明らかにしてから次に進みますか?

日本にあわせて中国側は最大限譲歩すべきだと考えますか?

本当にそうでしょうか?

・・・

●ただ質問する、感じたことを即座にフィードバックする

こんなとき、当社では遠慮なく中国企業に質問をぶつけることをお勧めします。

中国人SEを相手にするとき、質問のやり方にはちょっとしたコツがあります。例えば、


・主語を省略しない (あなたは主語を省略してはいけません)
・結論を先に書く (それは○□です。なぜならば、・・・)
・最後にも結論を書く (最後に要点を繰り返します。1.・・・)
 …………

中国企業は聞かれたものは何でも答えてくれます。私の経験上、単に「答える」だけではなく、それ以上に何にでも「応えてくれる」という姿勢をアピールしてきます。これは本当に気持ちがいい。

相手を格下の下請業者ではなく、これから私たち日本企業と対等に取引するパートナーとして扱っている態度を示す方が望ましい結果が得られやすい。

そうすれば、きっとよい関係が構築されるはずです。なぜなら、彼らは日本から受注量を得るために本当に必死だからです。

その上、中国人はメンツを重んじる人種です。

私たちはそのメンツを上手に利用しようではありませんか。彼らは、できないことを素直に「出来ません」とは言いにくい性格の持ち主です。多少無理なことであっても、こちらが真剣に悩んでいると思いがけず、無理な条件を飲んでくれることがあります。

お客A「この納期ではいくらなんでも厳しいのでは」
中国人「いやっ。一度出来ると判断したので絶対にやります」

お客B「うちの業務は難しいから、中国人には理解できないのでは」
中国人「最初の1ヶ月は勉強期間として無料として提供します。お客さんの隣にエンジニアを2名置かせてください」

●中国を意識しすぎない

中国人SEと上手に付き合うコツを一つ紹介します。せっかちな方、考えるより先に行動する方人、そういう人は気をつけたほうがいいです。

あなた:「○○の件、大丈夫ですか?」
中国人:「はい、はい、分かりました。大丈夫です」

この返事を聞いた人は特に要注意!

電話でこのような返事が貰えたからといって、100%安心するのは早計です。特に初めて取引をする相手とは、電話を主なコミュニケーション手段として使ってはいけません。必ず、メールと専用帳票を併用したQA連絡を心がけてください。

そして、必ずコミュニケーションの記録をとって下さい。

IT分野では、中国人がよく発するセリフの中で、私たちの常識で判断するとつい誤解してしまうような危ないものがあります。このような危ないキーワードに出会ったときには、当社が推奨するコーチングのスキルを活用してその場を切り抜けましょう。

例:安請け合いされたと感じた場合
 ⇒「この仕事は○月×日から始められますか?」
 (納期日を約束するよりも、開始日を約束するほうが効果的)

●最後に少しだけフォローします。

ほとんどの中国企業はモチベーションが高い。技術的な分野では一般の日本人プログラマーよりもずっと優秀だといえます。だからこそ、私たち日本の発注側が100%真剣になって中国オフショア開発に取り組まないと、かえって痛い目にあうことになるでしょう。

このことを肝に銘じて、中国ベンダとWin-Winの良好な関係を築いていただきたい。

今回の記事はいかがでしょうか?
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2004年07月28日 23:05 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(1) |

中国オフショア開発の正しい始め方

初めての中国オフショア開発では80%失敗を覚悟しなさい。
ただし、100%万全の準備を怠らないこと。

●なぜか若手SEが担当する中国開発

今回のメッセージは「中国企業を必要以上に警戒せよ」という意味ではありません。むしろ、日本の発注側の心構えについて言及し
たものです。

当社が中国オフショア開発のコンサルティング依頼を受ける際、ほとんどの企業では比較的リスクの少ない試験プロジェクトを用意しています。

「やはり、中国にいきなり本番のシステム開発を発注するのは危険ですよ。まずは社内システムであまり重要ではない案件で試したい」

私もこの考えに賛成です。

ここで、ひとつ注意してほしいことがあります。
それが「初めての中国オフショア開発では80%失敗を覚悟しなさい」です。

実際のシステム開発の現場では、相手が中国人だからといって、発注条件や開発工程が大きく変わることはありません。なのに、なぜか中国オフショア開発リーダーとして経験の浅い若手SEが担当させられることがあります。

不思議ですね。

中国オフショア開発への取組みがこれからの会社の業績を左右するとの自覚を持ちながら、一方では社員教育を施すかのような感覚で未熟な社員中国開発の担当者として任命します。

●中国人は怖い?

日本のシステム開発の現場では、過去に中国技術者との付き合いで何らかのトラブルを経験していることが少なくありません。それゆえに、私たちは中国と聞いただけで、何か腫れ物に触るかのような感じを覚えます。

いかがでしょうか、心当たりはありませんか。

このような背景から、私たちは自然に中国オフショア開発から距離を置きたくなる気持ちがうまれます。

その結果、せっかくトップの経営判断として中国活用の方針が打ち出されたとしても、現場レベルでの対応が後手にまわっているような印象が否めません。

いったい何が私たちをそこまで不安に陥らすのでしょうか。
その原因とは何でしょうか?

・・・

その答えは「言語以上のギャップ」が存在することにあります。

日本語と中国語が通じないことを指摘してるのではありません。ここでは、日本人SEの常識や観念と中国人SEのそれとがうまく合致しないことが多いことを指摘しています。

私たちが注意すべきは、コミュニケーションの取り方です。

●言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション

私たちのコミュニケーション手段は、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとに大別されます。コミュニケーションの手段を思いつくままに考えると、次のようなものがあげられます。

文字情報(コンテンツ)、声の大きさ、高さ、抑揚、スピード、表情、目の動き、体の姿勢、手の位置、足の組み方、、、

どれが言語でどれが非言語のコミュニケーション手段に相当するかは他の情報源を参照してください。

私たちは言語を主体としたコミュニケーション手段にどれくらい依存していると思われますか?

一説によると、

・言語コミュニケーション  30%
・非言語コミュニケーション 70%

だそうです。

中国オフショア開発では、特別な訓練を受けていないコミュニケーションの素人が何の準備もないまま現場に放り込まれます。

ここに、多くの日本人が中国オフショア開発を敬遠する本当の理由が隠されています。

今回の記事はいかがでしょうか?
少しでもお役に立てれば幸いです。
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2004年07月28日 22:30 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

中国人SEの行動パターンを理解する

中国人SEの観念に戸惑う

私は海外システム開発の分野でコミュニケーションを支援するコンサルテーションサービスを提供しています。特に日本企業と中国企業との間で発生するトラブルを専門的に扱っていますが、IT技術者の「性格」でいつも頭を悩ませています。

ある研究によると、人間の「気質」を変えるのは困難だが、「性格」は変えることはできるらしい。この場合は、「気質」と「性格」を同一視しないのがポイントになります!

私たちの性格は、次の三層で構成されています。

  第一層(中心部)「気質」
第二層(真中部)「環境性格」
第三層(外側部)「役割性格」

外側部の役割性格をもう少し詳しく説明すると

人は、学習や努力、それに立場によって“自分はこうありたい”、“周囲からこう思われたい”と心に願う像があり、その理想像に近い性格を演ずるようになります。そして、演じ続けるうちにでき上がった性格を「役割性格」と呼びます。

この話は、メルマガ「がんばれ社長!」からヒントを得たのですが、「まさにその通り!」と膝を打ちました。

私は、もう少し優しい言葉を使って、同じことを表現しています。

「性格はかえられないが、行動パターンはかえられる」

この場合は、「気質」に相当するのが「性格」、「役割性格」に相当するのが「行動パターン」だと置き換えてください。

ちなみに「役割性格」は「観念」に相当するものと思ってください。カウンセリングや心理学の分野では、「観念」のことを「人生脚本」と呼ぶことがあります。

ようやく、話を中国オフショア開発に戻します。

私たち中国オフショア開発の世界では、「役割性格」の影響がこんな場面で現れます。


 中国人:「プログラムが完成しました」
 日本人:「でも、エラーが残っているよ」
 中国人:「はい、まだテストしていませんから」
 日本人:「・・・・・・」

 日本人の観念=
  プログラム完成はエラーがすべて無くなった状態だ。
  これだから中国人は信用できない。

 中国人の観念=
  プログラム作業とテスト作業は異なる工程である。
  「プログラム完成」と報告して何が悪い?

このような小さなコミュニケーションのギャップが引き金となって、プロジェクト全体が破綻することがよくあります。

実は、中国企業との共同プロジェクトが失敗する原因は、ほとんどがこのような意思疎通の不具合にあるといえます。


判断のモノサシの違い確認する

前出の性格の話には、次のような続きがあります。

学習すること、成長することにどん欲であればあるほど一番外の性格、つまり「役割性格」が進歩する。その反面、学習も成長も乏しい人は、限りなく「役割性格」が薄っぺらいものとなり、「気質」の通りの人間にとどまっている。

お分かりでしょうか。
つまりこういうことです。

人間の「気質」や「環境性格」を後から変えるのは非常に難しい。

そこを無理やり捻じ曲げるのが怪しい新興宗教や悪徳セミナーが行なう洗脳やマインドコントール。だからこそ、私たちが成長するためには「役割性格」(行動パターン)に着目するのが手っ取り早い。

私は日ごろから次のように心がけています。

 ・自分の「観念(役割性格)」を知りなさい
 ・相手の「観念(役割性格)」を知りなさい
 ・そして相手に合わせた最適な行動パターンを選択して最大の価値を得なさい

これと同じことは、一般の利用者とSEが会話する場面が多いシステム開発の世界にも当てはまります。

特に中国ソフトウェア開発の現場ではかなり有効な交渉術として機能しています。
開発の現場でよく見かける過ちの一つに、日中の担当者が互いの観念を主張し過ぎることが挙げられます。

次の例をご覧ください。


日本人プロジェクトマネージャが中国人SEに進捗報告を促す場面。

日本人:「調子はいかがですか」
中国人:「順調です」

日本人の本音 = 本当はかなり遅れているのでは・・・
中国人の本音 = 最後には帳尻をあわせるので問題あるはずがない

この例では、双方で合意した基準がないままプロジェクトを進めてしまったようです。

つまり違う土俵で会話をしています。
運悪く別のトラブルが併発すると、最後には感情レベルの言い争いに陥ってしまうこともあります。

喧嘩の状態になると、中国人SEが頑固になる傾向が強く何を聞いても

 「大丈夫です/順調です/問題ない」

としか応えない者もいるくらい。

そうなる前に手を打つのが優秀なプロジェクトマネージャーの務めですが、実際はなかなかそうもいきません。

で、上記ケースの結論はどうなるのかというと、日中両社の役員が登場して雲の上の話し合いで決着をつけました。

しかしながら、すべてのケースで事態が丸く収まるはずがありません。

上記以外にも似たような事例は後を絶ちません。

そして多くの場合には、日中双方の担当者に消えがたい傷跡だけが残ります。


2004年07月21日 22:09 | 固定リンク | Comment(5) | TrackBack(0) |

中国現地法人設立のメリット・デメリット

【質問】

中国で現地法人を設立して自前で開発を行う場合と、パートナー企業に委託する場合の、メリットとデメリットをまとめています。参考になるポイントがあれば、教えてください。
(開発管理部マネージャ Kさん)


【回答】 ★中国法人設立のポイント!

中国法人設立の目的、および今後の展開によって考慮すべき点が変りますが、基本的には次の要点を抑えてください。

 ×多額の資本金が必要、しかも国外持ち出しは困難
 ×営業許可証(営業執照)に活動内容が縛られる
 ×複雑で面倒な人材管理を強いられる

 ○中国市場への進出の足がかり
 ○圧倒的な人件費の安さ

もう少し具体的に説明するとこうなります。

・資本金

独資の場合は、資本金100万元必要。
裏ワザはたくさんあるものの、基本的には資本金で中国に出資した資本は、会社を解散するなどの方法以外は国外に持ち出せません。

・営業範囲

設立時にしっかりした営業範囲を決めなければいけません。開発がモジュールだけなのか輸出できるソフトウェアか、などの違いが重要になってきます。

・人材管理

最近では日本籍の常駐者のVISA申請は比較的簡単。
中国市場がターゲットの場合は、優秀な中国人パートナーが必要。
契約があったとしても、結局は社員を拘束することができないので、技術的流出は避けられません。

(情報提供者:上海在住 土下様、Kさま、他数名)

情報を提供していただいた上海在住の農業ビジネス先駆者 土下様、Kさま、他数名の方が、本当にありがとうございます。


2004年07月19日 03:04 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

中国アウトソーシングの可能性

中国オフショア開発に限らず、アウトソーシング全般について考えてみましょう。中国へのアウトソーシングビジネスは、大きく二つの種類に大別されます。

1. エンジニア派遣モデル
2. サービスプロバイダーモデル

日本の大手ベンダーが好むのはエンジニア派遣モデルですが、これからは、むしろ欧米やインドで主流となっているサービスプロバイダーモデルが有力になると予測しています。

サービスプロバイダーとは、受託開発にとどまらず保守運用を手がけたり、さらに付加価値のある業務サービスを提供する業種のことを指します。

 フルアウトソーシングサービス
 総務/人事サービス
 テクニカルサービス
 調査会社
 ロジスティクスサービス
 コールセンターサービス
 ・・・

しかしながら、現在の中国ソフトウェア産業における人材分布を鑑みると、日本で一般的に行われる平均的な人材を必要とするシステムインテグレーション業務を確立するには、もう少し時間がかかりそうです。

なぜなら、中国の研究者やプログラマが一丸となって、一つのプロジェクト目標を達成するには、まだまだ個人の協調性が成熟しているとは言い難いものがあるからです。

その一方で、サービスプロバイダーの分野は、ごく少数の精鋭の人材と普通の保守運用系のエンジニアの組み合わせでも十分に成り立ちますので、中国市場の動向に歩調を合わせながら伸びていくのではないでしょうか。

一足先に中国進出を果たした製造業では、国際的なサプライチェーンマネジメントシステムを軸にして、経済レベルの上位国でルール作りを行い、下位国では生産を行いつつマーケットを形成していくことが成長モデルとなっています。

将来的には、わが国のソフトウェア業界でも、単純な受託案件を中国オフショアで開発するだけではなく、自社製品を中国市場で販売したり、他製品と連携させるなど様々な可能性を探りながら展開していくべきでしょう。


2004年07月19日 02:46 | 固定リンク | Comment(0) | TrackBack(0) |

ブリッジSEとは

オフショア開発では、大規模なプロジェクトを通じて、大幅なコストダウンを狙います。ところが、単に費用削減を狙ったオフショア開発では、期待するほどの効果があがらなかったり、社員の定着率の悪さから事業継続が困難になるという事態が発生します。

そこで、日本と中国の文化や言葉の壁を越える鍵として、ブリッジSEと呼ばれる職種が脚光を浴びるようになっています。

IT Square「5分でわかるIT|オフショア開発とブリッジSE」によると、

ブリッジSEとは、ITのスキルだけでなく言語や文化など両国間(例えば中国と日本)のビジネス習慣を熟知し、間に立って円滑に業務を進められるよう指示できるSEのことです。 SEの能力に加え、プロジェクトマネージャーとしての能力、そして言語力が求められていることが分かります。さらに、開発パートナーの指導、教育、管理が行える人材であれば、納期の厳守に加え、高品質なシステム開発が期待できます。 http://www.sw.nec.co.jp/lecture/word/offs/

ブリッジSEには様々な定義がありますが、本ブログでは次の通りとします。

ブリッジSEとは、中国ソフトウェア開発プロジェクトで日本企業と中国企業との間に入ってコミュニケーションの橋渡しをする【中国人】責任者のこと。

日本のお客様と中国ベンダーとの間で、見積りやチームのスケジュール、および相互のフィードバックによる結果など全体を管理する【中国人】SE(システムエンジニア)と定義することもできます。

最近では、主に日中間を結ぶブリッジSEの人材派遣サイトが登場しているようです。

本ブログの定義に従うと、ブリッジSEはプロジェクトの勘所を押さえる重要な役割が期待されているため、人材派遣サイトから簡単に調達できるような職業ではありません。

一般的なブリッジSEへの期待事項

・ 日本語と中国語が両方できること
・ プロジェクト管理や設計業務

中には、「主に中国とのオフショア開発における契約内容の把握、スケジュール管理、要員管理、リスク管理によりプロジェクトを推進」という要求もあるようです。

正直なところ、このような高度な職務を遂行する中国人SEにはほとんどお目にかかったことがありません。本当に優秀な中国人は、すでに副総経理クラス(会社役員)の重責を担っています。

つまり、会社経営に忙しくて、特定プロジェクトを担当するブリッジSEとして採用するのは非常に困難であるといえます。

これまでは、「ブリッジSE」という職種だけが先行して実態が伴わない状況が続いていましたが、今後はプロジェクト成功に貢献する本物の橋渡し人材が求められます。



2004年07月19日 02:06 | 固定リンク | Comment(27) | TrackBack(0) |

中国オフショア開発とは
システムインテグレータが、システム開発・運用管理などを海外の事業者や海外子会社に委託すること。

 オフショア開発の主な受注先としてはインドや中国の企業が挙げられるが、近年ではロシア、カナダ等にもオフショア開発を請け負う企業が設立されている。また、日本や欧米の企業が現地に進出して本国の案件を受託する場合もある。

 オフショア開発の最大のメリットは安価な労働力を大量に得られることである。日本での高い人件費を嫌ってオフショア開発を推進する企業が増えているが、現地採用のスタッフに十分な技術が身についていなかったり、主に言葉や習慣の違いから来るコミュニケーション不足などが原因で発生する納期や品質に関するトラブルも増えている。

IT用語辞典 http://e-words.jp/
オフショア開発【offshore development】より

簡単にいうと、オフショア開発とは海外へ委託することです。

近年では、沖縄県の有利なIT産業振興施策を活用したITアウトソーシングも盛んになってきていますので、こちらのブログでは、東京と沖縄間で実施されるソフトウェア分散開発のことも、オフショア開発と呼びます。

前出したように、オフショア開発で世界各国にて実施されていますが、わが国の状況はどうでしょうか。

時代によってIT分野にもブームがありますが、現在では、やはりインドと中国がオフショア開発の人気を二分しています。

こちらのブログでは、特に中国オフショア開発を専門としています。

オフショア開発の発祥は、米国を中心とする欧米諸国。元々は、経費削減などのコストメリットに関係者の注目が集まっていましたが、近年では抜本的な業務改革(BPR/BPO)を伴う新しいビジネス形態として期待されています。

米調査会社のMETA Groupによると、オフショア開発は今後2年間20%~25%増で成長するとされています。

日本でも同様な成長傾向を示しており、特に中国の大連が発展著しい地域として着目されています。

同社はこのような傾向に対し、4つのリスク要因を挙げてリスク分析の重要性を訴えています。

(1)セキュリティ侵害や知的財産保護などの危険性
(2)開発費が予算を超えることが多く、15%程度増となることもある
(3)文化の違い
(4)現地ベンダーへのIT部門間の知識移転で初年度は生産性が下がる

残念ながら、中国オフショア開発でもこれらのリスクは大いに存在します。

大規模なプロジェクトを通じて、大幅なコストダウンを図るような場合は、オフショア開発は大きなメリットがあります。

しかし、これは中国に限ったことではありませんが、単に費用削減を狙ったオフショア開発では、期待するほどの効果があがらなかったり、社員の定着率の悪さから事業継続が困難になるという事態が発生します。


2004年07月19日 01:40 | 固定リンク | Comment(5) | TrackBack(2) |