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打率3割バッターでも平凡 2007/7/4

難しい概念を難しく説明するのは簡単です。さらに、簡単な(低次元?)内容を難しく(高次元っぽく)説明することだってできます。

前者の典型例は、要件定義書、大学の授業。
後者の典型例は、政治家の発言。

小さいころは、家族でよくプロ野球のTV中継を観ていました。当時から、解説者によって面白さは全く違うなー、と感じていました。

難しく解説するコツの1つは、「確率論」の多用です。まれに「確率」という道具を上手に使いこなす解説者もいますが、大半のプロ野球解説者は確率論を間違って使用しています。


【よくあるプロ野球解説者の言葉】

 「ここは、外角低めの変化球が打たれる確率は低い」

 といった舌の根も乾かぬうちに、

 「この緊迫した局面では、気持ちの勝負ですから」

 などと言う。(おいおい、結局は精神論ですか~)


両方とも正しい見解だと思うのですが、視聴者の私は思わず苦笑いしてしまいます。

やはり、道具として確率を利用するなら、高い・低い、ではなく、数値で示して欲しいのです。(数学科出身の私としては^^;)

というのも、確率50%を高いと感じる人もいれば、確率70%でも低いと感じる人がいるかもしれません。

極論かもしれませんが、プロ野球解説者が使う「確率」は、従来型の勘・経験・度胸(KKD)に基づく主観的なご意見に過ぎません。

その理由は、プロ野球解説者の多くは「条件付き確率」を理解していないからだと思います。当然ながら、確率分布についても、理解しているとは思えません。

例えば「打率3割」と聞くと、野球をかじったことのある人なら、反射的に好成績だと思うはずです。

ところが、これが少年野球の成績なら、「打率3割」なんて並みの数字かもしれません。きっと、傑出した成績ではないはず。

この場合は、「打率3割」を他の選手と比較することが第一歩。他の選手も打率3割以上なら、この選手の成績は最低ランクです。

もう少し頭をひねると、野球選手の打率が確率分布するのかを調べてみるのも面白いでしょう。もし、打率が正規分布に従うと仮定すれば、受験勉強でお馴染みの「標準偏差」や「偏差値」が道具として使えます。


プロ野球解説者がそこまで考えた上で「確率論」を使っているかというと、はなはだ疑問です。

ですが、あえて名誉のためにフォローすると、プロ野球解説者の勘・経験・度胸(KKD)による判断はそれなりに正しいと思われます。

元一流プレーヤーのプロ野球解説者たちは、TV的には、それらしく映るし、実際に素人の何倍も鋭い指摘が飛び出します。

「おお、さすがは落合(現中日ドラゴンズ監督)」

と脱帽させられたこともしばしば。

ここで言いたいのは、野球解説者が語る確率論は、ほとんどの場合は数学的に意味がないということ。


最後のまとめとして。

「中国は品質が悪い」というセリフをよく耳にしますが、確率分布に基づく数値データを示さない限り、説得力はありません。

「わが社は、きちんとマネジメントしています」も同様です。

気のおけない仲間同士の会話なら何でもOKですが、正式なビジネスでは「あうんの呼吸」的な評価・批判は通用しません。

仕事で相手を評価することが多い人は、自分の胸に手を当てて、これまでの発言をよく振り返ってください。


2007年07月04日 10:37 in | コラム , 社長の独り言 | 固定リンク |

 

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